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時間は残酷だ。
時間が解決する、なんて言葉もあるけど
ただ積み重なっていくだけで何も解決しないものだってあるわけで。
『時間が解決する、なんて言い始めたの、どこの誰なんでしょうね』
「突然だな、情緒どうした」
ぐでっと図書室の机に伏せるわたしを横目で見て、
木葉くんはわかりやすく顔を歪めた。
木葉くんが、いつも光くんに向けてする、
面倒くさそうな顔。
わたしは、いつぞやと同じように図書室で木葉くんと向き合っていた。
あの日と違って、今日は昼休みだけど。
気づけば例の合宿から1週間も経ってしまった。
週末からは夏休みになる。
『光くん、最近どうですか？』
「木兎？別にいつも通りだと思うけど…
つーか、次は急に木兎かよ」
まじで情緒どうなってんの、と更に顔を引きつらせる木葉くんだけど、ちゃんと付き合ってくれるからやっぱり優しい。
「むしろ俺が聞きたいんだけど。
何か進展ないの？もうすぐ夏休みじゃん」
『進展、というか後退というか』
「は？何それ」
『後退というか、停滞というか…』
「え、ちょ、まじで何？」
焦ったように慌てだす姿に思わず笑みがこぼれる。
それを見て、安心したように息をつく木葉くんに、
ちょっとくすぐったい気持ちになった。
ありがとうございます、とお礼を言えば、木葉くんは照れたように首の骨を鳴らす。
耳がちょっと赤い。
「まじで何なの、調子狂うんだけど」
『心配、してくれてるのかなって』
「まぁそりゃあ、するだろ。
吐き出していいっつったのに、相談とか増えるどころか全く聞かねぇし…」
きまり悪そうにボソボソと告げる木葉くんに、
口がポカンと開く。
開いた口が塞がらない、とはまさにこのこと。
ちょっと、というか、かなり驚いた。
入学式の日、これからはいつでも吐き出して、って言われたこと、まさか木葉くんが覚えていたとは。
それだけじゃない。
まさかそれをきっかけに心配してくれてたなんて。
より一層、心臓の、もっと奥のあたりがくすぐったい。
木葉くんお兄ちゃんにほしい、と呟くと、Aちゃんが妹とか心臓保たねぇ、と即却下された。
『最近は、赤葦先輩が相談にのってくれてたんです』
「赤葦ぃ？何でまた」
『赤葦先輩は同士なんです』
光くんのこと大好きな同士、と続けると、やけに納得した顔をされた。
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さら(プロフ) - 登場人物の心情や状況を色々な方法で表しておられ、こだわりを感じました。特に浴衣の色の対比にグッと来ました。主人公も赤葦のそういう真っ直ぐなところにやられたんだろうなぁ、と、結婚式までのお話も読んでみたくなりました！素敵な作品をありがとうございました！ (2月21日 18時) (
レス) @page40 id: 3384d29a03 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - Renaさん» Renaさん！最後まで読んでいただきありがとうございます！このお話が最高だなんて…初めての完結作品だったのでたくさん読んでいただき本当に嬉しいです。ありがとうございます！！ (2023年1月22日 22時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
Rena(プロフ) - 完結おめでとうございます！この小説見つけてから毎日毎日ケータイに穴が開くぐらいまで読んで、たくさん笑って、泣いて、最高の小説でした、こんな最高な小説を作ってくれて、完結してくれて、ありがとうございました、完結するのはとっても悲しいですけど嬉しいです、 (2023年1月21日 19時) (レス) @page40 id: 89e66a43fb (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - マロさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます！温かいコメント、とても嬉しかったです。これからマロさんのコメントなしでどうすればいいんだァアアア！！ (2023年1月21日 11時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 完結ありがとうございます！そしてお疲れ様でした。毎日更新をとても楽しみにしていました。これからなにを楽しみにやっていけばいいんだァァァァア｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2023年1月20日 20時) (レス) @page35 id: 608bd786c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2023年1月7日 11時
