世界で一番大事なひと�� ページ36
(木兎side)
誰より幸せになってほしいと願った人が、ちゃんと幸せになっているのを見るのって、絶対幸せなんだと思ってた。
見てるだけで俺も胸がいっぱいになるような、
そんな幸せを、信じて疑わなかった。
忘れもしない、高校最後の、花火大会。
アイツの幸せを、心から願ったあの日から、ずっと。
『光くん、今までありがとうね』
「ん？そーゆーのって親に言うやつじゃねーの？」
『光くんに言いたくなったんですー』
でも実際の俺は、真っ白なウェディングドレスに身を包んだ今日のAに、まだ胸が痛い。
ウェディングドレス姿のAは、本当に、本当に、テレビとかに出てるどんなヤツよりも綺麗で。
これを予想できてたいつかの俺を盛大に褒め称えたい。
でも、その姿は、Aがもう俺から離れてくことの証みたいな気がして、ちょっと苦しい。
最近染めたその髪も、先週試合に来てくれた時に着てたワンピースも、毎日の思い出も。
全部知ってんのはもう俺じゃなくてアイツなんだと思うと、やっぱり胸が痛い。
『光くんは、ずっとわたしの大事なひとだから』
「ナッハハハ！知ってるっつーの！」
『あ、今のは告白とかじゃないからね！？』
「っ、どこのバカが結婚式当日に浮気するんだって」
『あ！光くんにバカって言われた！』
小さな頭を軽く突きながら、もういっそ浮気でもしてくれたらなぁなんて思っちまう自分のしつこさが嫌だ。
Aの言葉ひとつで、俺はまだ苦しくも嬉しくもなれるみてーだよ。
その焦った顔も、笑った顔も、すべてが愛しい。
『ふふ、結婚式、だって』
「何言ってんだ？Aの式だぞ」
『結婚しても、光くんの一番のファンは辞めないからね』
「当たり前だな！応援は浮気に入らない！」
でも、これだけは信じてほしい。
Aの幸せが、俺の幸せなのに違いはない。
Aに誰よりも幸せになってほしいって、本気で思ってる。
それはきっと、昔も今も、これからも。
その嬉しそうな表情ひとつが、俺を喜ばせるのは変わらない。それが俺のためじゃないとしても、どうしようもなく嬉しいんだ。
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さら(プロフ) - 登場人物の心情や状況を色々な方法で表しておられ、こだわりを感じました。特に浴衣の色の対比にグッと来ました。主人公も赤葦のそういう真っ直ぐなところにやられたんだろうなぁ、と、結婚式までのお話も読んでみたくなりました！素敵な作品をありがとうございました！ (2月21日 18時) (
レス) @page40 id: 3384d29a03 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - Renaさん» Renaさん！最後まで読んでいただきありがとうございます！このお話が最高だなんて…初めての完結作品だったのでたくさん読んでいただき本当に嬉しいです。ありがとうございます！！ (2023年1月22日 22時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
Rena(プロフ) - 完結おめでとうございます！この小説見つけてから毎日毎日ケータイに穴が開くぐらいまで読んで、たくさん笑って、泣いて、最高の小説でした、こんな最高な小説を作ってくれて、完結してくれて、ありがとうございました、完結するのはとっても悲しいですけど嬉しいです、 (2023年1月21日 19時) (レス) @page40 id: 89e66a43fb (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - マロさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます！温かいコメント、とても嬉しかったです。これからマロさんのコメントなしでどうすればいいんだァアアア！！ (2023年1月21日 11時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 完結ありがとうございます！そしてお疲れ様でした。毎日更新をとても楽しみにしていました。これからなにを楽しみにやっていけばいいんだァァァァア｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2023年1月20日 20時) (レス) @page35 id: 608bd786c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2023年1月7日 11時
