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隠しててごめん、と改めて謝る赤葦先輩に律儀な人だと思いながら返す言葉を探す。






『全部わかって、何か、スッキリしました!』

「スッキリ?」






やっと見つけた答えは、口にしてみれば何だかとてもしっくりきた。


光くんのこと。
赤葦先輩のこと。

色んなことがあったけど、今こうして笑っていられるのは、前を向けている証拠なのかもしれない。
そしてきっと、前を向けるように背中を押してくれたのは、彼ら以外いない。


ありがとうございます、と笑えば、それを見て、赤葦先輩も小さく笑った。






「あー、何だろう。
木兎さんがAさんをここまで大事に思う理由、何かわかった気がする」

『え、何ですかそれ!』






そんなものがあるなら是非知りたい、と食いつけば、もっと楽しそうに笑ってくれた。

光くんと一緒に、バレーをしてる時みたいな、
心からの、楽しそうな笑顔。



それがキラキラ光って見えて、慌てて目をこする。
もう一度見ると、そこにいたのはいつもの赤葦先輩だった。






『まぁ、でも。
光くんは選んでくれなかったですけれどね』

「俺はこれからも、Aさんを選び続けるよ」

『はは、またそんな…、って、え?』

「ん?どうしたの?」

『いや、だって赤葦先輩がそんな…』

「Aさんが見てきた俺は、こんなんじゃなかった?」

『……開き直ってません?』

「そう?これからもっと見てもらわなきゃって思ってるだけだよ」






意地悪く口角を上げた赤葦先輩は、今までに見たことがない顔をしていた。

でも、それはとても楽しそうで。
やっぱりどこかキラキラしている気がして。





漠然と、この人のことを、もっと知りたいと思った。



都合のいい話だけれど。


もっと見て、もっと知って。
そしていつか、この人のことを好きになる日がくるのかな、なんて。



もしかしたら、さっきのキラキラは、なんて。






「木兎さん達のところ、行こう」

『はい!』






そんな微かなときめきを胸に、並んで歩く。

向かいから歩いてくる光くんと黒尾さんが見えて、
顔を見合わせて、二人揃って足を早めた。

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さら(プロフ) - 登場人物の心情や状況を色々な方法で表しておられ、こだわりを感じました。特に浴衣の色の対比にグッと来ました。主人公も赤葦のそういう真っ直ぐなところにやられたんだろうなぁ、と、結婚式までのお話も読んでみたくなりました!素敵な作品をありがとうございました! (2月21日 18時) (レス) @page40 id: 3384d29a03 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - Renaさん» Renaさん!最後まで読んでいただきありがとうございます!このお話が最高だなんて…初めての完結作品だったのでたくさん読んでいただき本当に嬉しいです。ありがとうございます!! (2023年1月22日 22時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
Rena(プロフ) - 完結おめでとうございます!この小説見つけてから毎日毎日ケータイに穴が開くぐらいまで読んで、たくさん笑って、泣いて、最高の小説でした、こんな最高な小説を作ってくれて、完結してくれて、ありがとうございました、完結するのはとっても悲しいですけど嬉しいです、 (2023年1月21日 19時) (レス) @page40 id: 89e66a43fb (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - マロさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます!温かいコメント、とても嬉しかったです。これからマロさんのコメントなしでどうすればいいんだァアアア!! (2023年1月21日 11時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 完結ありがとうございます!そしてお疲れ様でした。毎日更新をとても楽しみにしていました。これからなにを楽しみにやっていけばいいんだァァァァア。゚(゚´Д`゚)゚。 (2023年1月20日 20時) (レス) @page35 id: 608bd786c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2023年1月7日 11時

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