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(木兎side)
「おーおー、相変わらずお前は本当にバカだよなぁ、フクロウさん?」
「ああ?バカって言うやつがバカなんだからな!?」
「はいはい。
でもまぁ気づいてやれって。無自覚であれやってんなら、Aちゃん可哀想すぎて黒尾さん泣けてきちゃうぜ?」
「…うん、ほんと、バカみてー」
「……」
「…何だよ黒尾、何も言わねーの」
「いや…、木兎お前、まじかよ」
体育館でAに逃げられた後。
やっちまったな、って追いかけることもできなかった俺のとこに来た黒尾にバレちゃったけど、でもちょっとだけ救われた。
鈍感なフリ続けるのも、一人で考えんのも、
正直しんどかったから。
それから、考えた。
難しいこととか考えんの、ニガテだけど、これは逃げちゃいけない気がした。
そんで、Aにちゃんと言おうって決めて、
合宿2日目はもうそのことで頭いっぱいだった。
早く言わなきゃ、Aに全部言っちゃいそうだったから。好きって、言いたくなっちゃうから。
「希はきっと大学も行くだろ?
俺なんかと違って頭もいいし、何かこう、色々考えてんだなって思うし」
『………そんなこと、ないよ』
「希は俺の自慢の幼なじみだからな。
きっといい大学行って、そこで彼氏とか作って、いいヤツ見つけて、結婚式とか綺麗なのやってさ」
話し出せば、思ったよりスラスラしゃべれた。
でも、彼氏とか結婚式とか、言っててもちょっとしんどかった。ウェディングドレス綺麗なんだろーな、って言いながら、ちょっと目が熱かった。
幸せになってほしいっていうのは、本当。
でも言ってから、何言ってんだろって思えてきて。
苦しそうな顔するA見て、
上手く笑えてる自信なくなってきて。
何でAにこんな顔させてんだろって思ったら、
どうしようもなくAを抱きしめたくなった。
好き。大好き。
俺、Aがすんげー大事だよ。
でも、俺はバレーしかないから。
今も昔も、これからも。
Aの幸せの中に、そんな俺はいちゃいけないから。
「だからAは、幸せになって」
Aが泣いてる気がして、でも目は見れなくて。
心臓刺されたみてーに痛かったけど。
Aの横には、あの赤葦がいるって思ったら
少しだけ、安心できた。
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さら(プロフ) - 登場人物の心情や状況を色々な方法で表しておられ、こだわりを感じました。特に浴衣の色の対比にグッと来ました。主人公も赤葦のそういう真っ直ぐなところにやられたんだろうなぁ、と、結婚式までのお話も読んでみたくなりました!素敵な作品をありがとうございました! (2月21日 18時) (レス) @page40 id: 3384d29a03 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - Renaさん» Renaさん!最後まで読んでいただきありがとうございます!このお話が最高だなんて…初めての完結作品だったのでたくさん読んでいただき本当に嬉しいです。ありがとうございます!! (2023年1月22日 22時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
Rena(プロフ) - 完結おめでとうございます!この小説見つけてから毎日毎日ケータイに穴が開くぐらいまで読んで、たくさん笑って、泣いて、最高の小説でした、こんな最高な小説を作ってくれて、完結してくれて、ありがとうございました、完結するのはとっても悲しいですけど嬉しいです、 (2023年1月21日 19時) (レス) @page40 id: 89e66a43fb (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - マロさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます!温かいコメント、とても嬉しかったです。これからマロさんのコメントなしでどうすればいいんだァアアア!! (2023年1月21日 11時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 完結ありがとうございます!そしてお疲れ様でした。毎日更新をとても楽しみにしていました。これからなにを楽しみにやっていけばいいんだァァァァア。゚(゚´Д`゚)゚。 (2023年1月20日 20時) (レス) @page35 id: 608bd786c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2023年1月7日 11時