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『光くんあっち！たこ焼きあるよ！』
「こっちにはかき氷もあるぞ！」
『りんご飴もあった！』
「あ！俺、あのフランクフルト食べたい！」
神社の階段を登ると、途端に香るいい匂いに思わず二人で顔を見合わせて。それからは、もうお互いに食べたいものを見つけてはしゃぎながら歩き回った。
肉だ肉だと言っていた光くんも、色んなものに目を奪われて。
結局、花火のために、と移動し始める頃には、両手いっぱいに食べ物を蓄えていて。
座ったらまずは食べるとこからだな！と調子よく歩いていく光くんに並びながら、ふと冬の記憶が脳裏に浮かんだ。
こうやって屋台のご飯をいっぱい買って、光くんと並んで歩いて。何か、まるで……
「なんか、初詣みてーだな！」
『え』
「ほら、いつもこうやって屋台いっぱい回ってんじゃん！
場所もちょうどここの神社だし」
瞬間、思っていたこと、そのまんま光くんの口から聞こえてきて。
振り返って、両手いっぱいの袋を掲げて見せた光くんは、な！と優しく笑ってまたゆっくりと歩き出す。
楽しい。嬉しい。幸せ。
あったかい気持ちで胸があふれそうになって。
これも、全部、
ちゃんと全部覚えておこう、と光くんを追いかけた。
「おー、ここか！」
『わ、誰もいないね』
「これぞまさに！穴場ってやつだな！」
そうしてたどり着いた神社の奥。
光くんのお姉ちゃんおすすめの、花火を観るための穴場スポットは、本当に見晴らしがよくて、誰もいなかった。
近くの座れそうな縁石に腰をおろして、待ちきれない様子の光くんとさっそくご飯をつまんでいく。
二人で分け合いながら、美味しい美味しいと食べ進めて。
途中、すでにしぼみかけてるわたあめに一緒に笑ったりして。
幸せが積み重なっていくと同時に、胸が締めつけられるような痛みも重なっていく。
今日が終われば、光くんを好きだという気持ちともお別れすると決めたから。
そうしたらもう、この幸せはないのかもしれない。
小さくもれたため息を隠すように俯いた瞬間。
そんな痛みを飛ばすように、一際大きな音がなりひびいて、目の前がパッと明るくなる。
「お、始まったぞ！」
光くんの声に引き上げられるように顔を上げる。
ド派手な音とともに打ち上げられた花火は、視界いっぱいに大きく広がって消えては、また次の花火と入れ替わった。
それを、ただただ、黙って眺めた。
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さら(プロフ) - 登場人物の心情や状況を色々な方法で表しておられ、こだわりを感じました。特に浴衣の色の対比にグッと来ました。主人公も赤葦のそういう真っ直ぐなところにやられたんだろうなぁ、と、結婚式までのお話も読んでみたくなりました！素敵な作品をありがとうございました！ (2月21日 18時) (
レス) @page40 id: 3384d29a03 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - Renaさん» Renaさん！最後まで読んでいただきありがとうございます！このお話が最高だなんて…初めての完結作品だったのでたくさん読んでいただき本当に嬉しいです。ありがとうございます！！ (2023年1月22日 22時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
Rena(プロフ) - 完結おめでとうございます！この小説見つけてから毎日毎日ケータイに穴が開くぐらいまで読んで、たくさん笑って、泣いて、最高の小説でした、こんな最高な小説を作ってくれて、完結してくれて、ありがとうございました、完結するのはとっても悲しいですけど嬉しいです、 (2023年1月21日 19時) (レス) @page40 id: 89e66a43fb (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - マロさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます！温かいコメント、とても嬉しかったです。これからマロさんのコメントなしでどうすればいいんだァアアア！！ (2023年1月21日 11時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 完結ありがとうございます！そしてお疲れ様でした。毎日更新をとても楽しみにしていました。これからなにを楽しみにやっていけばいいんだァァァァア｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2023年1月20日 20時) (レス) @page35 id: 608bd786c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2023年1月7日 11時
