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(木兎side)
「3組の中村、彼女できたんだってよ」
「うーわまじか!いいなぁ〜」
「木兎は興味ねぇの、そういうの」
「俺?俺は、んー、よくわかんない!」
「ハハ!木兎らしいけどよ!」
中学かな。
クラスのヤツらが恋愛だなんだって騒いでる時も、
楽しそうだなーくらいにしか思ってなかった。
俺もいつかはそういうのあればいいなーって。
それだけ。
一番近くで隠されてたその想いも、
俺に向けられてた視線も、
いつもの優しい笑顔も。
全部、当たり前だと思ってたから。
でも俺、バカだけど。
いつからかな。
ちょっとずつ、考えられるバカになったんだ。
皆が思ってるほど、バカじゃなくなったんだよ。
.
いつからかな。
バレーに打ち込む俺のために、とか言って、
Aが自分を押し殺してるの、わかってた。
わかった上で、俺は、知らないフリをした。
多分、どうしていいか分かんなかった。
俺はバレーばっかで。
バレーしかしてこなくて。
きっとこれからも、バレーばっかだから。
Aのことは大事。それは譲れねーけど。
でも。
バレーとA、どっちか選べって言われたら、
間違いなくバレーを選ぶだろうから。
それに、Aは待ってくれるって、単純に考えてた。
いつか、俺がちゃんと、
バレーもAも大事にできるようになるまで。
Aは待っててくれるって。
隣にずっといてくれるって。
そう、勘違いしてた。
ただのバカじゃなくなったから、
大事なもん両方は大事にできないってわかって。
中途半端にバカなままだったから、
Aの気持ちも、自分の気持ちも、ちゃんと考えずに過ごしてた。
何にも考えないバカのままだったら、
バレーも、Aも、どっちも大事にするって、
ただ、バカみてーにそう言えたかもしんないけど。
でもそうしたら、そもそもAの気持ちには、
一生気づけなかったかもしんないけど。
どっちがよかったのか、なんて
今じゃもうわかんねーけど。
俺、本当にみんなが言う何倍もバカだったよ。
昔は本当に、鈍感なフリなんてしてなかった。
ただただ、当たり前だと思って、Aのことなんて気にも留めてなかった。
でも、ちょっとずつ
考えられるバカにはなってたからさ。
何でか分かんないけど、いつからか。
鈍感なフリ、してたんだよ。
Aの気持ちだけじゃない。
自分の気持ちにも。
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さら(プロフ) - 登場人物の心情や状況を色々な方法で表しておられ、こだわりを感じました。特に浴衣の色の対比にグッと来ました。主人公も赤葦のそういう真っ直ぐなところにやられたんだろうなぁ、と、結婚式までのお話も読んでみたくなりました!素敵な作品をありがとうございました! (2月21日 18時) (レス) @page40 id: 3384d29a03 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - Renaさん» Renaさん!最後まで読んでいただきありがとうございます!このお話が最高だなんて…初めての完結作品だったのでたくさん読んでいただき本当に嬉しいです。ありがとうございます!! (2023年1月22日 22時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
Rena(プロフ) - 完結おめでとうございます!この小説見つけてから毎日毎日ケータイに穴が開くぐらいまで読んで、たくさん笑って、泣いて、最高の小説でした、こんな最高な小説を作ってくれて、完結してくれて、ありがとうございました、完結するのはとっても悲しいですけど嬉しいです、 (2023年1月21日 19時) (レス) @page40 id: 89e66a43fb (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - マロさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます!温かいコメント、とても嬉しかったです。これからマロさんのコメントなしでどうすればいいんだァアアア!! (2023年1月21日 11時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 完結ありがとうございます!そしてお疲れ様でした。毎日更新をとても楽しみにしていました。これからなにを楽しみにやっていけばいいんだァァァァア。゚(゚´Д`゚)゚。 (2023年1月20日 20時) (レス) @page35 id: 608bd786c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2023年1月7日 11時