06 ページ6
そして相変わらず、赤葦先輩は無表情。
光くんは笑ってるから険悪ではないけど、
でも感情の読めない、静かな顔。
ピーーーーーー
笛の音で、試合が再開される。
慌ててコートに意識を向けて。
そしてそこで見たものに、息が詰まった。
「あかーしーい！俺によこせ！！」
「木兎さん！」
光くんが呼んだ先。
綺麗にトスが上がって。
ひときわ大きな音を立てて相手コートに決まるスパイク。
「「っシャア！」」
「ナイストスだせ、赤葦！」
「ナイスキーです、木兎さん」
口内が渇く。
息が苦しい。
いつのまにか開いたままだった口をぎゅっと閉じて、
鼻からゆっくりと空気を吸い込む。
光くんのバレーの試合を初めて見た時。
光くんが全国の舞台で活躍するのを見た時。
光くんが楽しそうにバレーをしてるのを見た時。
これ以上ないんじゃないかって思うほど、
感動した。心が震えた。
でも今、それ以上だった。
光くんが呼んで、
そこに赤葦先輩がトスを上げて、
ふたりで、喜んで。
今まで光くんのプレーしか見てこなかった。
それしか目に入らないくらい光くんが輝いてた。
光くんがそれ以上に輝ける瞬間があること、
今、初めて知った。
何より。
『…赤葦先輩、笑うんだ』
光くんの横で、嬉しそうに笑う赤葦先輩に、
心が湧き立つのを感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 211人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます！励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (
レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さな | 作成日時：2022年11月30日 21時
