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入学してから早2週間。
みんなが部活を決めて、その活動に励む中。


わたしは一人、図書室にいた。






「ほんっと木兎とは正反対だよな」

『…部活はいいんですか』

「もうすぐ行くっての」






放課後の静かな空間。
そこで大きく伸びをした木葉くんは、手元の数冊の本を抱えた。


難しそうな、試験対策のための本。
チャラい見た目と反するこの真面目さが、
木葉くん最大の特徴だと思う。


初めて会った時もチャラそうで、
光くんと仲がいいのが不思議だった。

でもそうだけど、そうじゃないから、
お兄ちゃんみたいな木葉くんが大好きになった。






「俺、Aちゃんは男バレのマネやんのかと思ってた」

『光くんがいるから?』

「それもあるけど」

『…?』






歯切れの悪い言葉に、本をめくる手を止める。
木葉くんは目を伏せて、それから首を小さく掻いた。






「バレー、好きなんだと思ってたから」

『好きですよ、バレーも光くんも』

「…直球で言われると何か木兎に腹立つな」

『ふふ、何ですかそれ』






じゃあ何で、と食い下がる木葉くんに、
雪絵先輩とかおり先輩を思い出す。

現役マネさんのお二人からの勧誘は
とても有り難いものだとわかってた。



でも、ダメだった。
マネージャーをやればどうなるか、わかってたから。






『隠せなくなっちゃう気がするんです』

「隠す?」

『光くんのこと、好きって、隠したいので』






バレーが大好きで、バレーにひたむきで、
バレーを精一杯頑張る光くんを応援したいから。

恋愛を彼がほしいと思うまで、待つって決めたから。






『そういえば、なんですけど』

「ん?」

『赤葦先輩って、光くんと仲良しなんですよね』

「何だそれ、まぁそうなんじゃねーの?」






何となく。
入学式の日のことが気になって聞くも、
木葉くんはさっきのことがよく咀嚼できないのか
綺麗な顔にシワが寄っている。


仲良し、なんだと思う。
だって赤葦先輩は光くんの話によく出てくる。

出てくるけど、その話の中の赤葦先輩は、
もっとバレーに熱くて、面白くて、優しい。


この前の赤葦先輩を思い出して、小さく震える。






「気になんなら、今度練習見に来れば?」

『え?』

「試合してる木兎も見れるし、いいんじゃね」






ニヤリと口角を上げた木葉くんが、キラキラして見えた。

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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます!励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2022年11月30日 21時

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