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水が残る頭をブン、と振って、
その水しぶきでキラキラして見える。
「お前は、何でバレー好きなの?」
『光く…木兎くんが、楽しそうにやってたから…ですかね』
「あー何かわかる。
アイツ、すっげー楽しそうにやるよな。
バレーが好きで仕方ないって感じ?」
『っ!そうなんです!
昔から、バレーは楽しいものなんだって、
彼を見てたら素直にそう思えて…!!』
思わず前のめりになる。
光くんのかっこよさ、バレーへの姿勢、そこから感じたバレーの魅力は、もう10年近く溜めてきた。
他校の、しかも光くんが一目置いているレベルの高い選手と同意見、ということにテンションが上がらずにはいられない。
ずいっ、と一歩近づくと、
近くなったその先で、微笑む彼の姿。
その綺麗な目を見て、ふと我に返った。
『す、すみません…はしゃいでしまって、!』
「何で謝んだよ、いいじゃん。
あー、何か木兎が羨ましいな!」
ぐっ、と伸びをして、ぐるりと首を回す。
その顔にどこかいたずらっぽい笑顔が浮かんだ。
何だか急に恥ずかしくなって、とっさに顔をそらす。
さっきの自分の子どものようなはしゃぎっぷりを見られたからか、それともその笑顔を見たからか。
どちらのせいか、わからない。
光くん以外の男の人にドキドキしたのが久しぶりで、不思議な感覚だった。
「俺はさ、一番になりたいんだよな」
『…え?』
そんな、色めき立った、
ふわふわした頭にガツンと響いた声。
ただ、純粋に聞き返すわたしに、
今度は優しく微笑んで。
「やるからには、一番」
彼は、もう一度、はっきり、そう言った。
自分自身で、その言葉を確かめているように、
ゆっくり、はっきりと。
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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます!励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2022年11月30日 21時