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しとしと、雨が降り続く梅雨も。

室内部活であるバレー部は、変わらず部活に明け暮れる日々だった。






「もうすぐ合宿だなぁ!」

「木兎お前、廊下走んなっつーの!」

「部活部活ー!!」

「あ、おい!聞けって!!」







あれからまたバレー部には行くようになったけど。
今日は大人しく勉強しようと、図書室に向かっている時に見かけた、光くんと木葉くん。

相変わらずというか何というか。


それでも、光くんを見て、純粋に愛しいと思えることが嬉しかった。




それもこれも、赤葦先輩のおかげ。

あの日、赤葦先輩が声をかけてくれたから。
赤葦先輩と話をしたから。

光くんのこと、ちゃんと向き合えた。



光くんを同じように好きな人として、前より一層、親近感を抱くようになった気がする。




光くん達が走っていた廊下を進んでいると、前に見える件の人。
遠目からでもわかるようになったり、声をかけるのをいとわなくなったりしたのが、何だか嬉しい。






『赤葦先輩!』

「ああ、Aさん。お疲れ様」

『お疲れ様です。さっき、走ってく光くんと、追いかける木葉くんを見たんです。
赤葦先輩も今から部活ですか?』

「はぁ、またあの人は…。
俺は職員室だけ寄るけど、そのまま部活行くよ」






いつもの無表情のまま、それでも光くんの話題にその綺麗な顔が少し歪む。


この数ヶ月で、赤葦先輩のこんな顔もよく見た気がする。
初めて見た柔らかい笑顔だけじゃなくて、むしろこっちの苦い表情の方が日常的にはよく見ているような。



その理由も光くんだと思うと、わたしは微笑ましく思ってしまうのだけれど。






「Aさん、今日は体育館来ないの?」

『はい。期末も近いですし、今日は勉強します』

「さすが。偉いね、木兎さんにも見習ってほしいくらいだよ」

『はは…光くん、勉強嫌いですもんね』






バレー以外で頭を使うこと自体が億劫だと言う光くんにとって、昔から勉強は苦痛なんだとか。
中でも数学や物理といった理系科目は特に苦手なようで、テスト前には顔を青くさせていた記憶がある。



だから、余計にかな。
勉強を頑張れば頑張るほど、光くんはいつもキラキラした顔で褒めてくれる。


最初は、バレーを頑張る光くんに少しでも追いつきたくて。
何かでわたしも頑張るんだって力を入れた勉強だったけど。


だんだん、すごい、って自分のことのように喜んで、嬉しそうに笑う光くんに褒められたくて、勉強を頑張ってた気がする。

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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます!励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2022年11月30日 21時

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