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父はきっとここには来ない。
突然呑み込めてしまったその事実が、燈矢の心を打ちのめした。
心と身体の安定性を失い、力の抜けたようにカクンと地面に膝をつく。
濡れた泥の感触など気にもならないほどの虚無感と脱力感に呑まれていく。
どうしよう。どうすればいい。
もう何も残っていない。
唯一あった大切なものは、昨日自分で粉々に砕いて壊してしまった。
知らず知らず自身の支柱となっていたAを、一時の激情で突き放し、踏みにじって傷つけたのは燈矢自身だ。
今さら後悔したって遅い。
土台を失った燈矢の精神は、水面を揺蕩う木の葉のように不安定に揺れていた。
喪失感に目眩がする。焦燥感に吐き気がする。
自分を肯定してくれる存在が、常に側に居てくれたものが失われた昨日、あの瞬間、燈矢は自分という存在がボロボロとこぼれ出していくのを感じた。
父からも、そして他ならぬAからも可能性を否定され、望み描く未来を心から信じ切れなくなった時、自分の心はきっと形を保てなくなる。そんな気がした。
だから炎司に訴えかけた。
僅かな可能性に全てを委ね、もう1度自分を見て欲しいと懇願した。
全身全霊、全てを投げ打つ覚悟で勝負に挑み、そして今、何もかもを失って燈矢は賭けに負けたのだ。
「修業……しなくちゃ」
ふらり。上から垂らされた糸に操られているかのように、燈矢は顔を俯けたまま片膝を立てた。
脚についた泥を払い、ゆっくりとその場に立ち上がる。
まだ分からないではないか。
ひょっとしたら、本当に仕事が長引いているだけなのかも知れない。
このまま夜が更ければ、心配になってここを覗きに来るかもしれない。
心変わりしてくれるかもしれない。
そんなはず無いだろうと嘲笑う自分自身は、胸の奥深い場所へと隠して蓋をした。
負けを認めてしまった瞬間、深い影に呑み込まれて2度と戻って来られなくなるような予感があった。
既に結論が出たというのに、諦めの悪い女々しい根性が燈矢の身体を突き動かす。
顔から、腹から、両手から青い炎をぼっと噴き出す。
こんなにも容易く蒼炎を扱えるのは、やはり感情の昂りが火力に直結しているからだろう。
意図せずとも炎の勢いは増していき、まるで涙のように青い炎がその両目から漏れ出したその時、俯いた燈矢の青白く照らされた視界に、小さな靴先が映り込んだ。
『＿＿＿もう、帰る時間だよ』
驚きに目を見開いた燈矢の耳が、蒼鈴の声を拾った。
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メケメケ(プロフ) - まおさん» まおさん初めまして〜！わ〜、私もこんな素敵なコメントを頂けてとっても嬉しいです！😭説得力ある深い愛情を綴れるのが長編の良い所だと思っているので、そう言ってもらえて嬉しいです！�Ь呂諒�にもぜひお付き合いください☺️ (1月5日 13時) (
レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - うさん» 動いてる心臓とはもちろん、、、🥺3話くらいまとめ書きしてから7章を更新しようと思っているので、もう少々お待ちください！近々続きを出しますね！😊 (1月5日 12時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
まお - メケメケさん初めまして！こんな素晴らしい小説に出会えてとっても嬉しいです！！登場キャラからアズちゃんへの愛情がとても伝わってくるし、誰が何をしているのかが読んでいてとっても分かりやすい丁寧な文章で本当に大好きです！これからも応援していきます！ (1月5日 2時) (レス) @page50 id: 956050c9e8 (このIDを非表示/違反報告)
う - 動いてる心臓とは…？やめるんだっ廻さん！？やばくないですか！？応援してます！ (1月4日 13時) (レス) @page50 id: 7215328c99 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - ねねさん» 幸せなお話なので大丈夫なはず、、、という判断のもと今年もバリバリ更新していきます！🥲👍 (1月3日 19時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メケメケ | 作成日時：2023年12月21日 14時
