古い炎 ページ4
あれから幾度となく文を交換し合い、私達は恋仲になった。いつ死んでしまうか分からない身だからこそ、出来るだけ沢山会う時間を作ってくれているらしい。
私はというと、藤の花の家紋の家の者として洗濯も任せてもらえるようになった。任せてもらえてうれしい反面、会える時間が仕事に取られることが少し寂しく思う。
それでも良いこともある。隊員の方々の乾いた洗濯物を取り込んでいるときに、ふと見覚えのある赤色を見つけた。他の方の隊服を畳んで残り1枚、炎のような羽織の前に座る。心を落ち着けるように深呼吸をしてから手を伸ばす。
これ、杏寿郎様の。こっそり羽織ってみると私と同じ洗剤を使っているのに、ちゃんと彼の匂いがして。まるで抱き締められてるみたい、と考えて。だんだん恥ずかしくなってきて、顔に熱が集まる。
「はぁ・・・杏寿郎、様・・・もう脱ごう」
「なんだ?」
「へ?杏寿郎様!?」
「なにやら愛らしいことをしているなと眺めていたのだが、もう止めてしまうのか?」
いつからいらっしゃったのだろうか、楽しそうに笑いながら此方をみている。どうにか弁明を説こうとあたふたしている私を見かねてか、私の前に座って両手を広げる。そして頭に疑問符が浮かんでいるであろう私に笑顔で告げた。
「そんな羽織で足りてしまうのか?ほら、こっちにおいで。今は俺がいるだろう?」
羽織よりも暖かい、お日様の匂いがした。
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なるせ(プロフ) - 2次元屋さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しい限りです!頑張りますね! (2019年8月17日 13時) (レス) id: e20a86a6d7 (このIDを非表示/違反報告)
2次元屋(プロフ) - はぁ素晴らしい、めっちゃ続きが気になります!これからも頑張って下さい! (2019年8月16日 22時) (レス) id: cc493f2c39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるせ | 作成日時:2019年8月9日 18時