水に溶けたい。肆 【冨岡義勇】

第佰伍拾壱話 ページ35

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「A！！」




私が炭治郎に薬を刺してから倒れると、義勇がすぐ傍に来て抱きかかえてくれた。







『ぎゆ、う、、

たんじろ、、元に戻る、かな、？？』


「きっと、戻る…

だがA、あの技は…！！」






そう。

氷の呼吸 奥義、雪華冰乱は＿＿＿＿＿＿




使い手の約9割のエネルギーまたは命そのものを消費する技。




正直、9割だったのか、命そのものを使ったのか、どっちかなんてわからない。




"雪華家代々秘伝ノ呼吸"にも詳細が書かれてない技だった。




でも、この技は＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿




生と死の崖っぷちに立たされたとき、かつ大切な人への気持ちが大きく膨らんだとき＿＿＿＿＿＿



使い手のエネルギーを吸収する代わりに、その瞬間だけ爆発的な威力を発揮する。







＿＿＿＿＿＿大事なのは、大切な人たちを思う気持ちだ。



この気持ちがなきゃ、きっと奥義は使うことが出来ない。








『…わたしの命、かけてでも…


義勇や炭治郎、みんなには生きていて欲しかった……大事な、仲間で…家族だから…』



「A…死ぬな…！！」




奥義のおかげで、薬を刺した時に炭治郎から攻撃は殆ど受けていない。


でも、この一夜の疲労の蓄積と、奥義によるエネルギー吸収で私はかなり弱りきっていた。


呼吸による止血も出来ていない状態だ。









(もう…ダメなのかな…)









「…い……おい…おい！！冨岡！！


Aをこっちに渡せ！出来ることはやる！！」




ぼんやりする意識の中で、愈史郎が私たちを呼んでいるのが聞こえる。





「A…必ず、生きて戻れ。


何度も言うが、俺にはお前が必要なんだ…」



義勇はそう言って、口付けをひとつ落としてくれた。









＿＿＿＿＿＿ここで、私は意識を手放した。







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