水に溶けたい。弍 【冨岡義勇】

. ページ34

.






それから数日して、私は花魁としての日常を過ごしていた。


日輪刀や隊服は、見つからないように

押し入れの奥の方に閉まってある。




この間にさやちゃんと打ち解けて、

すっかり仲良くなった。







...勿論、体は売っていない。




客は取るが_______________________






宇髄さんに貰った薬、催眠薬、というらしい。


これを使っている。







これを酒などに混ぜて客に飲ませたら、

客は暫く眠る。




そして目が覚めると、

客はまるで一夜を共に過ごしたかのように

上機嫌に出て行く。






これは人の心理を利用した薬でもあるらしく、

だいたい遊郭に来たらすることはひとつ...

これをしたように思い込ませる(・・・・・・)ことが出来るらしい。





...恐ろしい薬よ。絶対使われたくないわ。









宇髄さんとも情報交換をしているが、

鬼の情報はこれといって掴めていない。





だがひとつだけ_______奇妙に思ったので

宇髄さんにも伝えた。






私のいる店、氷本屋のトップの花魁は

滅多に外出しないらしい。

花魁道中も行わないとか。



でも、店の中、つまり屋内だったら何度も歩いてるのを見たことがある。




1度話したことがあるが_____________________


まあそれは綺麗な顔立ちをしていた。




怪しいのには変わりないが。


大方、鬼だろうという結論に落ち着いた。







「雪花魁！


今日、一緒に寝てもいいですか？」


襖からひょこっと顔を出して聞いてきたのはさや。



『さや！勿論！！』




仲良くなり、

さやと沢山の話をするようになっていた。



さやには2つ上のお兄ちゃんがいた。

さやに似ていて、とても心の優しい子だ。







________________________私は







この家族を、鬼から守らなければならない。





.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す