水に溶けたい。【冨岡義勇】

第弍拾肆話 ページ26

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『父様がね、鬼舞辻に最後の攻撃をする前に

母様に何かを投げたの。小さすぎてその時は見えなかった。

けどあとですぐ気づいた。それは父様の結婚指輪だつた。

そして、それはお兄ちゃんが持ってるはず。

さらに母様も亡くなる直前にお兄ちゃんに

耳飾りを渡してるの。私の髪飾りと同じように。

母様がいつもしてる耳飾りだった...

淡い桃色と、淡い水色が半々になっている

円形の硝子の耳飾り。

光に反射するときらきらして綺麗だったなあ...

お兄ちゃん、今どうなっているかわからないけど

この2つを持っている人がいたら必ずお兄ちゃんだなあって考えてるの。』


そう。鱗滝さんと屋敷に行った日には、

兄自体もそうだったが父の結婚指輪も母の耳飾りも

ともに消えていたのだ。

小さすぎてどこかに行ってしまったのではないか、と思ったが受け取った際に兄がしっかりと握りしめていたのを私は見ていたのだ。

だからきっと兄が持っている、と。

兄が生きているかどうかもわからないが。




義勇は私の話を優しく聞いてくれた。

時々、相槌を打ちながら。

義勇がもし私の兄のような人を見つけたらすぐに知らせる、と言ってくれた。

その気遣いがとても嬉しかった。





私は義勇の腕の中でそのまま寝てしまったようで、

朝、目を覚ますと自分の布団の中にいた。

ここまで運んでくれた義勇に申し訳なさを感じながら

今日も鍛錬に行く準備をした。



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