55.不本意な職場体験 ページ6
これが…私…？しかし残念ながら少女漫画で見るような華やかな変化はなく、鏡に映る私は全身真っ黒だった。まっくろくろすけかと思ったわ。
「中々様になったではないか」
「Aは元々中性的な顔立ちだったから、そこまで化粧も濃くしないで済んだよ」
私の髪を束ねながら楽しげに笑うクーさん。無造作に下ろしていた長い髪を1つ結びの三つ編みにされる。縛ったゴムのリボンはご丁寧にまた黒だった。履きなれないシークレットシューズで立ち上がれば幾分か視界が高い。
「これもつけておくがいい」
手渡されたのは黒マスクだった。もうこれ新手の黒子なのでは？
「マスク姿での接客は客への無礼ではあるが、念には念を…だ。対策しておくに越したことはないだろう」
「私の身を案じてくれるなら最初からこんなことさせないで下さいよ」
「運営に言え」
諸悪の根源である運営くんへ顔を向ければ彼は彼で私の姿を見て「Aさん！とってもかっこいいです！」なんて目をキラキラとさせていた。言えるわけがない。
「今回限りですからね！次はないですよ！」
「…結果次第だ」
珍しく強気な私に目を逸らしながらケイさんは返答した。ふーん、なるほど結果次第ね？じゃあ勤務態度最悪にすれば次からこんな理不尽な目にあわなくなる訳だ。これからこの悪魔からの呼び出し自体もなくなるかもしれない。よっしゃやったろ。
「ご注文は以上でよろしいですか？…かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
先程の決意はなんだったのか私は見事に接客を徹底していた。仕方ないじゃん。せっかく楽しみに来てくれたお客さんの思い出を私情で不快なものにさせたくはない。ふと視線を感じてそちらへ顔を向ければクーさんがぽかんとしていた。
「驚いた。キミ、接客業の経験あるの？」
「まあ…それなりに」
「さすが社会人だ。出来が良すぎるとますますケイが手放さないよ」
「恐ろしいこと言わないでください」
「ふふ、痛いところをついたよね。ごめんごめん」
クーさんから笑顔で全く悪気のない謝罪をされた。くそっ許せてしまう。私は美人には弱いんだ。これが銀星さんだったらキレていた。
そういえば今日のスタッフはもう1人いるはずだ。とうに開場されたがまだ現れない。人によっては今の私の状況をおちょくられる気がするのでギィさん辺りがいいなぁ。
「…誰あんた」
突然後ろから聞き覚えのある声がして振り返る。晶さんだった。わあ、私ってば本当ついてない。
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もずく(プロフ) - おしおんさん» コメントありがとうございます！このような妄想を詰め込んだ話を好きと言って貰えてとても嬉しいです！ハロウィンガチャで爆死して意気消沈してましたが、そのうち復活すると思いますので、お時間がある時にでもご覧になってくださると幸いです！ (2021年11月19日 7時) (
レス) id: 68c913f1cf (このIDを非表示/違反報告)
おしおん(プロフ) - 最近ブラスタを知り始めたマイカちゃん推しの変人です！この小説めっちゃ好きで、続きもめっちゃみたいです！無理をしない程度に頑張ってください！応援してます！長文失礼しました！ (2021年11月15日 23時) (レス) @page2 id: a14fe6ccb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もずく | 作成日時：2021年9月26日 22時
