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35.態度違いすぎません? ページ36

晶さんは私をからかうだけからかうと、飄々とどっかへ行ってしまった。
くっそー!吹きかけられた耳がまだむずむずするような感じがする。


「A、顔真っ赤」

「っスキンシップが過度すぎるんですよ。…慣れてないんです、こういうの」

「あんたもちゃんと女の子なんだな」


おい、どういう意味だそれは。
意外そうな顔をする銀星さんを睨みつけると、罰の悪そうな顔をして「俺注文してくるよ」と言って、そそくさと席を離れた。

私まだどれにするか言ってない。…銀星さんのセンスに任せるか。
ふう、とソファーに背もたれて息をつく。すると影が差したような気がして、そのまま見上げればケイさんが私を見下ろしていた。


「あ、お疲れ様です」

「態勢を正せ。貴様に紹介したい人がいる」


視線を彷徨わせると、ふとケイさんの後ろに控えている女の子と目が合った。
栗色のロングヘアーに、髪と同じ色のまん丸の瞳をしたとても可愛らしい顔立ちの女の子だった。その子は私と目が合うと不思議そうに首を傾げつつも、戸惑いがちに微笑みかけてきた。


「…か、かわいい…」

「その耳は飾りか。早々に正さぬと痛い目に合うことになる」


ケイさんは私に口で忠告したが、その手の平は既に私の米神を掴んでいて。力はバッチリ込められていた。


「いたたたた!!合ってる!もう痛い目に合ってる!!」

「…フン、」



−−−



「彼女の名は早希。俺の大切な人だ」

「あっ、どうも。Aっていいます…。よろしくお願いします」

「初めまして。こちらこそよろしくお願いします」


お互いぺこぺこと頭を下げる。初々しい空気が立ち込める中、私の中でケイさんだけが異質だった。
え?どさくさに私惚気られたよね?


「早希、今日の席はここでもいいだろうか。このような煩いやつと同席にしてしまって、心苦しいのだが」

「おいこら」

「全然大丈夫です!ショーを一緒に見れる人がいるのは、とても楽しそうですから」

「…君の心の広さに俺はいつも救われる。せめて君にとってこのショーが満足のいくものであるよう願っている」


あの…、この人は誰ですか?

早希さんに別人とも言える微笑みを浮かべた後、彼は私の方を向いた。その表情はいつもと同じ冷めた顔だった。


「A、予定が変わった。ショーの後残れるか」

「明日は遅番だからいいですけど…。バクステに行けばいいですか?」

「ああ、」


相槌を打つと彼は早希さんにだけ一礼して、去っていった。



.

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もずく(プロフ) - いなれおさん» まずは返信遅れて申し訳ございません。温かいお言葉ありがとうございます。この通りマイペース亀更新ですが、お時間がある時に少しでも楽しんで頂けると幸いです! (2021年9月13日 21時) (レス) id: c26e1e718d (このIDを非表示/違反報告)
いなれお(プロフ) - 初コメ失礼します!マイカちゃん可愛すぎませんか!?こんな最高な作品を考えた主様はきっと神様ですね…!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2020年11月15日 17時) (レス) id: 2fb9f419a2 (このIDを非表示/違反報告)
もずく(プロフ) - レオンさん» こんな自己満の作品にコメントありがとうございます!励みになります!ただいま多忙で以前より更新出来ていませんが、落ち着いたらまた上げていきたいと思います。今後もよろしくお願いします! (2020年3月12日 11時) (レス) id: ca7a517b7e (このIDを非表示/違反報告)
レオン - 初コメ失礼します!!めっちゃいいです、マイカー!!ってなりました!(語彙力)更新楽しみにしてます! (2020年3月11日 10時) (レス) id: e3b363dcc8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もずく | 作成日時:2020年2月9日 18時

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