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20.僕はもう決めたから ページ21

僕達は舞台袖にいた。開演まであと少しだ。
頼みを吉野は快く受け入れてくれた。あいつちゃんと吉野と会えたかな。
後ろから「マイカ、」と呼ばれて、そちらへ体ごと向ければ、吉野がいた。


「Aさん、席に案内してきたよ」

「!ありがとう。ごめん、手間かけて」

「………」

「なに笑ってるの?」

「あんなに自分のことを好きになってくれる人がいて、羨ましいなって思って」

「?どういうこと」


「マイカ、そろそろ時間だ」


笑顔で唐突に意味の分からないことを言う吉野にわけを聞こうとすれば、リンドウが僕を呼んだ。それに気付いた吉野が「公演頑張ってね」と言ってその場を後にする。

女の子みたい。女の子より可愛くて隣立てない。そんなこと嫌になるほど言われてきた。あいつなんて最初からずっと僕のこと可愛い女の子のお友達だと思ってる。タチの悪いことに鈍感だから全く気付きもしないで。それでもあいつは僕のことを外見だけで判断しないで、中身が好きだと言ってくれた。だからしょうがなく付き合ってあげてたけど、隠すのももうおしまい。
きっとこのままお友達を続けていた方があいつも幸せだと思う。それでも僕はあいつに本当の僕を見て欲しくなった。だからチケットを渡したんだ。この公演をあいつが見ることによって、僕が本当は男だって知ることになる。それで離れていくようなら、仕方ないって思う。あとはあいつが好きなように判断すればいい。僕はもう覚悟を決めたから。


開演を知らせるブザーが会場内に鳴り響く。


A、僕のこと見てて。



−−−


ここのご飯美味しいなあって吉野さんが勧めてくれたローストビーフを食べていると、開演のブザーが鳴り響いた。口を紙のふきんで拭いて、舞台へと顔を向ける。初めてのくせに首にタオル、両手にはペンライト。準備を整えると前奏が鳴り始めた。

うわ、一番最初に出てきた緑の髪の人イケメンすぎない?えっでも衣装がやばい!露出多すぎ。緑の人を筆頭に次々と出てくるメンバーの中に大好きな友達を見つけた。


「…え?」


するりと手から落ちるペンライト。だってマイカちゃんも緑の人同様に露出が多くて、確かにそれは男の人の胸板だったからだ。
サッと全身の血の気が引いていく中、マイカちゃんの綺麗な歌声が私の鼓膜を叩く。私の視線はマイカちゃんに釘付けになっていると、ふとマイカちゃんと目が合った気がした。


「っ!」


そして確かに彼は私を見て不敵に笑った。



.

21.そうだ、土下座しよう→←19.ちょっとだけ羨ましいな



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もずく(プロフ) - いなれおさん» まずは返信遅れて申し訳ございません。温かいお言葉ありがとうございます。この通りマイペース亀更新ですが、お時間がある時に少しでも楽しんで頂けると幸いです! (2021年9月13日 21時) (レス) id: c26e1e718d (このIDを非表示/違反報告)
いなれお(プロフ) - 初コメ失礼します!マイカちゃん可愛すぎませんか!?こんな最高な作品を考えた主様はきっと神様ですね…!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2020年11月15日 17時) (レス) id: 2fb9f419a2 (このIDを非表示/違反報告)
もずく(プロフ) - レオンさん» こんな自己満の作品にコメントありがとうございます!励みになります!ただいま多忙で以前より更新出来ていませんが、落ち着いたらまた上げていきたいと思います。今後もよろしくお願いします! (2020年3月12日 11時) (レス) id: ca7a517b7e (このIDを非表示/違反報告)
レオン - 初コメ失礼します!!めっちゃいいです、マイカー!!ってなりました!(語彙力)更新楽しみにしてます! (2020年3月11日 10時) (レス) id: e3b363dcc8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もずく | 作成日時:2020年2月9日 18時

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