11.キャラ濃すぎるよ ページ12
さっきは盛大にすべったけど、今は竜崎(仮)が落ち着くまで二人でベンチに座っていた。スポドリをちびちび飲みながら呼吸を整えるその姿を見ていると、竜崎(仮)は深呼吸をした後に私の方へ顔を向けた。
「これ、ほんとにありがとね。助かったよ」
「いえいえー、体大事にね」
そう言って帰るべくベンチから立ち上がると、ぱしっと手首を掴まれた。案の定竜崎(仮)が私の手首を掴んでいて、濃い紫色の瞳が私を捉えると「待って」と呟くように制止した。
体ごとそちらへ向き直ると、私が待つと判断したのか手首は離された。そしてどこからかカードを取り出した。
「助けてくれたからお礼ってほどじゃないけど、占ってあげる」
「ほんとに?竜崎(仮)占いなんて出来るの?」
「…また?漫画の読みすぎだよ。俺の名前はヒース。今はそう呼ばれてる」
「何それ、完全に偽名じゃん。嘘の名前そんな堂々と名乗られても嬉しくないよ」
「そっちは?」
「え?Aだけど。私はちゃんと本名だからね」
「…うん、嘘はついてない色だ」
…え?何言ってるんだ、この人。
ちょっとキャラ濃すぎない?病弱で見目は派手でタロットカードで占いまでして、挙句の果てに嘘ついてない色?一体この人には何が見えてるんだ…。あれか。寧ろキャラ作ってるのか。キャラ付に必死なのか。
私がそんなことを考えていることも知らずにヒースと名乗る男はタロットカードをベンチの上に並べたり何かやっていた。あんまり興味が無いから分からないけど、占ってくれるというなら待ってよう。
「…A、気をつけた方がいいよ」
「えっもしかして悪い結果だった?」
「うん。ずっと欲しくてたまらなかったものが最近手に入ったでしょ」
「…欲しくてたまらなかったもの?」
それを復唱して、ぱっと思い浮かんだのはマイカちゃんだった。私が欲しくてしょうがなかった可愛いお友達。真っ先に思い浮かんだのが彼女で私はやっぱりマイカちゃんがめちゃくちゃ好きなんだと痛感しているのと同時に、先程の話の流れからして嫌な予感が胸をざわつかせた。
しかしヒースはそれを待ってくれるはずもなく、淡々と言葉を紡いでゆく。
「多分それ失くすよ。…気を付ければ、もしかしたら回避出来るかもしれないけど」
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もずく(プロフ) - いなれおさん» まずは返信遅れて申し訳ございません。温かいお言葉ありがとうございます。この通りマイペース亀更新ですが、お時間がある時に少しでも楽しんで頂けると幸いです! (2021年9月13日 21時) (レス) id: c26e1e718d (このIDを非表示/違反報告)
いなれお(プロフ) - 初コメ失礼します!マイカちゃん可愛すぎませんか!?こんな最高な作品を考えた主様はきっと神様ですね…!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2020年11月15日 17時) (レス) id: 2fb9f419a2 (このIDを非表示/違反報告)
もずく(プロフ) - レオンさん» こんな自己満の作品にコメントありがとうございます!励みになります!ただいま多忙で以前より更新出来ていませんが、落ち着いたらまた上げていきたいと思います。今後もよろしくお願いします! (2020年3月12日 11時) (レス) id: ca7a517b7e (このIDを非表示/違反報告)
レオン - 初コメ失礼します!!めっちゃいいです、マイカー!!ってなりました!(語彙力)更新楽しみにしてます! (2020年3月11日 10時) (レス) id: e3b363dcc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もずく | 作成日時:2020年2月9日 18時