七泊 ページ9
「私はこんなこと願ってないもん！
「美希」を返してよ！」
ドンドンと店のドアを叩く人
大将についていったらこれだよ
この人は何を願ったんだろう
「双子なんだから入れ替わっても
大した違いはないとおっしゃったのは貴方自身でしょう？」
大将が女性の後ろでそう言った
双子…ってことは
姉か妹の立場を入れ替えたのかな
「私どもはただ少しだけ
そうしたら 運悪く貴方のお姉様が亡くなってしまっただけなのです
そこから先の"選択"は全て貴方が自らの意思でなさったこと
己の人生をきちんと歩む事だって出来たはず
でも貴方の選択はことごとく
姉の辿ってきた人生を写しとるようなものばかりで…
わずかばかり残っていた『
綺麗さっぱり失われてしまったのですよ
貴方はいったい 何者なんですか？」
大将がそういうと
その人はドロドロと溶け出していく
息が詰まった
呼吸がうまく出来ない
可哀想な人
欲に溺れた酷い人だ
「う あ やだ ナニコレ
なんで……溶けてるの…！？」
店の奥から蝶が現れる
それにすがるように溶け出した女性は
蝶に近付く
「元に戻して ねぇ
私そんなつもりじゃなかったの
ただうらやんでただけ…
それだけ ホントは ホントはっ」
"私を見て"
"ありのままの私を"
"誰か…受け入れて"
そうやって蝶のように
ボロボロに崩れていく女性
その近くにいた蝶の中に混じっていく
「…あれ まずいな…
大将 切り分けてくれる？
俺 惚れ込まれちゃったみたい
俺のナカに混ざっちゃってる
取って」
蝶がそういえば大将は手を伸ばし
女性だったものを一つずつ取っていく
「ここも」
「蝶…貴方また私がいていないところで
人と交わっていたでしょう
何度 私にこの作業させるつもりですか」
「えへへ すいません」
「遊びなら控えること
貴方に貸した店でしたが…
こんなことなら
取り上げますよ」
「遊びじゃない！
俺は大将の手伝いのつもり…でした
"秘密"を握って泳がすのって難しいな
大将の指示なしじゃまだうまくできないかも…」
私は二人の会話を横目に
女性だったものを拾い上げた
可哀想な人
宿に帰ったら
あの場所に埋めてあげるね
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燕 - おもしろかったです。これからも更新頑張ってください!楽しみにしています(*･ω･)ﾉ (2018年3月3日 19時) (
レス) id: 2de2767ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もずく。 | 作成日時：2018年2月12日 20時
