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九泊 ページ11

-視点 大将-




宿に帰ればAは自室に走った

後を追ってみると

自室に飾られる気味の悪い花瓶の中から

何も咲いていないものを取り出し


そこに いつ拾ったのか

先ほどの女性の破片を入れていた

どこからか小刀を取り出すと指先を少し切り

花瓶の中に垂らした


すると どす黒い色の芽が出てくる

Aは小瓶に入れていた水をかけると

花瓶を元の位置に戻した


なるほど たまに元人間だったものを

拾っていたりしていたが

こんなところで使っているとは


「A」


名を呼べばビクゥッと体を跳ねさせる

不安そうな顔でこちらをみる彼女に優しく問いかけた


「これは全て 貴方が?」

『…はい 母の遺書から見つけたものです
ヒトではなくなった人間を 違うものにする術

母はヒトならざるものが苦しむから
やってはいけないと言っていたけど

あまりに可哀想だったから』


咲いた化け物のような花を撫でては

悲しそうな声でそう言った


『助けたかったんですよ
あのままなんて 可哀想だ

でも 今 こうなって
このヒトだった者達は苦しんでるのかなって

そう思ったら 酷く悲しくて

…ねぇ大将』


Aは振り向いた

その目には涙を貯めて


『人が一人死ぬだけで
いったいどれだけの人が悲しむのかな

人が一人生まれるだけで
いったいどれだけの人が喜ぶのかな

私はどうして生まれたのかなぁ…っ』


青い目から ボロボロと

透明な大粒の涙が流れていく

やっぱり 彼女は泣いてしまう

どんな者でも どんなヒトでも


優しく 彼女を抱きしめた

ずっとすすり泣いている

私の腕の中にいる小さな命


どうか 泣かないで

私まで悲しくなってくるでしょう?

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- おもしろかったです。これからも更新頑張ってください!楽しみにしています(*・ω・)ノ (2018年3月3日 19時) (レス) id: 2de2767ee8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もずく。 | 作成日時:2018年2月12日 20時

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