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「あっつ」
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外に出ればジリジリと強い光で照りつけられる。
蝉の五月蝿く鳴いている声と、空に浮かぶ真っ白な入道雲で「ああ、夏だな」なんて他人事のように考えた。
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何も考えない頭でひたすら足を進めていると、後ろから衝撃。
「！？っなに……」
「おはよう！！」
「……おはよ」
誰かと思えばコイツ(森本慎太郎)かい。
こんな暑い日だと言うのにその笑顔でより暑苦しい。
「元気なくない？なんで？」
コイツは…行くタイプだろうな、花火大会。
耳に付いたシルバーのピアスやギラギラとしたネックレスを見てため息をつく。
「これが普通だよ、森本くんが元気すぎるだけ」
「えー、まじ？」
しかし今日は運が悪い。
この流れじゃ暑苦しい森本くんと一緒に出勤しないといけない。ついていけないよ、君には。
「Aちゃんってなんでピアス開けないの？」
「開けなくてもいいでしょ、別に」
「似合いそうじゃん、ピアス」
「イヤリングで十分なので」
「ふうん」
つまんなーい、なんて顔をしながら横を歩く彼。
なんだかんだ歩くスピードは合わせているみたいだ。
「やっぱ夏は浴衣とか、水着とかいいよね！」
「は？」
いきなりこいつは何を言い出すんだ。
いつも唐突で私は勿論の事、ついていけない。
「Aちゃんはどっか行く予定とかあるの？」
「無い」
「え！ないの！？」
腹立つな本当に。分かって聞いてんだろ。
イライラするのを抑え、私は無言で進む。
「Aちゃん彼氏とかいるでしょ？彼氏と出かけないの？」
「もう、うるさいなあ。いないよ彼氏なんて」
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その一言を放った途端、横に気配を感じなくなった。
え？何？どうした？
まあ、付いてこないのは都合がいい。
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私はそのまま足を進めたが、
森本くんは最後まで追いついてこなかった。
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作者名：もずく | 作成日時：2020年5月9日 23時
