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「おはようございます」
「おはよっ！」
「おはよ、陽菜」
私が働いているのは服のデザインを扱っている会社で、割とラフなスタイルで行われている会社方式に惹かれて入社をした。
こんなお洒落なところで働いていて彼氏が居たことないなんてのは多分私だけなんだろうけど。
「Aは今度の花火大会どうするの？」
「…聞かなくてもわかるでしょ、行かないよ」
「彼氏とか作ればいいのに〜」
「作らないよ、てか作れない」
「作れるよ！Aかわいいもん！」
「はいはい」
女性の言う可愛いは真に受けないって決めてるから。まあ、男性も然りなんだけど。
経験豊富な陽菜とは正反対な私ではあるが、なんだかんだ仲良くやっていけてる。気を使わなくていい関係的な。
「慎太郎くんは？」
「は？なんで森本くん」
「え？だってわかりやすいじゃん」
「何がわかりやすいんだ」
意味がわからない。
というかあんなチャラチャラした感じだし、
きっと私なんかに目もくれないだろう。
私はぐびっ、と麦茶を飲み干した。
「じゃあさ、今度の花火大会、私と一緒に行かない？」
「え、彼氏は？」
「いいのいいの、行こ！勿論、浴衣でね！」
「え、浴衣で行くの？」
「浴衣がいい！私は！」
花火大会に一度も行ったことのない私は嬉しくないはずがなかった。浴衣着るのも夢だったんだよね。
嬉しさで、顔がにやける。
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「Aちゃん嬉しそうだね」
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「ぎゃ！？な、……森本くん、驚かさないでよ」
「ふふ、今日俺も嬉しいことあったから！」
「…へえ、」
「興味無さそう！ちょっとショック！」
「ねえ陽菜」
「無視！？」
「陽菜の浴衣って何色？」
「え、私は…慎太郎くんはどんなのが好き？」
「俺はねぇ、こういうの！！」
森本くんが見せてくれたのは
白がベースで大きな赤い菊の花が散らばっているデザインだった。
「…可愛い」
「だよね！？これいいよね！！」
「あれ、慎太郎くん、そのデザインて…」
森本くんはチャラチャラしてはいるのだが、イケメンはイケメンなので女性社員から人気があった。
しかも彼はこの会社の中でも優れたデザイン提案者であって。
なんだかんだ、私も彼のデザインに惹かれることがしばしば。
…本当は陽菜のが聞きたかったけど、
森本くんのデザイン、結構良かったし参考にしよう。
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作者名：もずく | 作成日時：2020年5月9日 23時
