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「じゃあ、家まで送りますよ」
「いやいや、年下に送らせられないよ」
「…Aちゃんがもし、告白断ったことに罪悪感を持ってるなら、これぐらいさせてください」
「狡いなあ、ラウールくん」
優しすぎるよ、私には勿体ないくらい。
この言葉は心に留めておく。
きっとこんなこと言ったって困るのはラウールくんなんだから。
「ありがとう、ほんとに家まで送らせちゃって」
「Aちゃん」
「ん、?」
「もし、クリスマスの日、彼氏さんと会えなくて心細かったら僕に連絡してください。いつでも飛んでいきます!」
「…でも、」
「待ってますからね」
彼は私の頭を優しく撫で、帰っていった。
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…彼氏と会えない、か。
会えるのかな、そんな期待なんてしていいのかな。
会話だってろくにしてない癖に。
ガチャンと玄関の扉を閉めると
今まで堪えていた涙が一気に溢れてくる。
「っ、うぅ、…」
ベッドの上で声を殺してひたすら泣いた。
ジェシーに会いたいよ。
会って大好きって伝えたい。
ねぇ、ジェシー…
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作者名:もずく | 作成日時:2020年5月9日 23時