肌 ページ36
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中々手なんて触らないから、わからなかったけど意外とごつごつしてるんだな…、
そういや、最後に手繋いだのっていつだったっけ、なんて考えながら、はみ出さない様に塗っていく。
というか綺麗な手してるよな…皮膚が硬い所とかあるけど、…肌も意外とすべすべで、…傷まみれの僕に較べたら断然綺麗だ。
僕は自分の稀血を利用してた時があって、その時つけた傷とか鬼に付けられた傷が、手当てなんてしなかったから痕になってしまった。
…女の子特有のすべすべな肌じゃなくてガタガタしてて、少しザラザラした肌だ。本当、汚ったない肌。
顔に残らなくて、まだよかったよね。なんて思いながら反対側の手も塗っていく。
傷だけは、絶対に見られたくない。其れこそ拒絶される、嫌われる。
中に付けてるサラシだってほぼ全体につけて、いつ脱がされても見えないようにはしてる。行為をしようとしたら、申し訳ないけど蹴り飛ばしてる。ごめんね義勇…
…昔、色々あって、その時好きな人が出来たら、絶対言わないって決めたし…、義勇にだけは、絶対に嫌われたくないから。
『…、よっし終わり!中々上手に出来たんじゃないか?』
塗り終わって、義勇の方をむくと、こっちをみているせいで距離が近くて少しビクッとしてしまう。
爪じゃなくて僕の顔見てたのこの人…そんないいもんじゃないと思うけど…
無言で僕を見つめながら、じりじりと寄ってくる。もう鼻がくっついてる位の距離なんだけど、…滅茶苦茶近い。
直視したら絶対顔が赤くなるから目をぎゅっと瞑る。
頬に手を置いたから、接吻でもするのかと思ったら、額をコツンと合わせられる。
恐る恐る目を開けて義勇を見ると、泣きそうだけどいつもより真剣な顔していて、え、と小さく言葉が漏れる。
珍しく不安そうに、少し緊張しながら揺れている瞳から、目が離せない。心臓の音が僕の頭にとても煩く響く。
冨「…なぁ、A、」
「カーッ!伝令!伝令!北東ニテ…、アッ…、」
「カーッコノ…コノ!ヨクモ私ノ癒シヲ!空気ヲ読メト!」
何かを言おうと口を開いたが、義勇の鴉が窓から義勇めがけて突っ込んできて、中断される。まぁ、避けたから刺さらなかったけど、あれは避け無かったら刺さってた。
僕の鴉が何か説教してるのを横目で見ながら、後ろに倒れこんだ義勇を見る。
『義勇、さっき何言おうとしたの?』
冨「…何でもない。」
なんて言いながら義勇は深く溜息を吐いた。
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ふぉと - ぎゃあああ神作者様に神作品だ!ぎゃあああ!←はい最高でした愛してる(突然の告白←)出はあなたは神以上の存在ですね!!自分に悲しくなりますよ! (2019年9月8日 13時) (レス) id: f531edd03e (このIDを非表示/違反報告)
江柄子 蛍 - とても素敵だなあと思って感想を書かせていただきましたよ。私と同じ様なジャンルを書かれているにも関わらず圧倒的で好感度を持ちやすいキャラを設定し、物語を進展させていく…貴方は控えめにいって神なのです(確定)。 (2019年9月8日 0時) (レス) id: 64dd8ab2dd (このIDを非表示/違反報告)
味噌煮(プロフ) - 江柄子 蛍さん» ありがとうございます!実を言うと、人物には少しこだわってたので、そう言って貰えて嬉しいです!ありがとうございます、頑張ります! (2019年9月7日 23時) (レス) id: 430e816347 (このIDを非表示/違反報告)
江柄子 蛍 - 味噌煮さんの描く人物像素敵すぎます!応援してます! (2019年9月7日 15時) (レス) id: 64dd8ab2dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:味噌煮 | 作成日時:2019年8月31日 22時