箱根に遊びに行こう! ページ1
ある春の晴れた日。
『たまにはクォーツみんなで遊びましょうよー!』という根地黒斗の声に三年生が賛成して、練習を午前中で終わり、電車で箱根までいくことになった。
メンバーは睦実、高科、根地、白田、織巻、世永、立花、鳳の8名。ちょうど夏公演の練習をしているメンバーだ。
電車に乗って移動中なのだが、めいめい楽しそうにしている中、白田は電車酔いなのか、しかめっ面で頬杖をついている。
「なぁなぁ立花。『ロードレース』てしってっか?」
がたごとゆられながら、遊ぶ、ということにわくわくした様子の寿々が、希佐にそう尋ねた。
「ロード・・・?知らないなあ。なにそれ?」
希佐はちょっと考えてから、首を傾げる。
「ほっそい自転車だよ。あッ、ちょうど走ってる・・・・」
寿々が、びたん!と窓に頬をはりつけて、希佐に教える。赤や青、色とりどりのほそい自転車に、ぴったりとした黄色のジャージを着て乗った集団が走っている。
「わぁ、速いんだね・・・」
そういいつつも、希佐は、頬をくっつけて目をキラキラさせている寿々に目を奪われるようで、ふふと微笑みをこぼした。
「な!?もうすぐつく箱根に、王者って呼ばれてるチームがいるんだぜ!会ってみたいよなぁ〜」
「!う、ぅん、そうだ・・ね」
窓から顔をはがして、今度は希佐のほうにぐいぐい迫る織巻。希佐は内心、近い!とじわじわ熱くなっていく頬に焦る。
「んー?スー、それって箱根学園のことか?」
「え!知ってるんすか!?」
更文がスマホをいじりつつ、涼やかな声で寿々を呼び止めた。寿々の顔がそちらを向いた瞬間に、更文は希佐に軽くウィンクしてみせる。
(フミさん・・・・・ありがとうございます)
「んー・・・っと、知ってるっつーかねぇ・・・いとこだわ、こいつ」
そういって、スマホの画面を寿々に向けた。
「ぅわっ!?『山神』!?」
寿々は声を上ずらせて叫んだ。
そこに写っていたのは、びしぃっ!とポーズを決めた、さらさらの黒髪に白いカチューシャの印象的なイケメン—東堂尽八だった。
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作者名:もゆる | 作成日時:2022年5月21日 18時