二十四話 ページ26
彼の手がどうなっているかはわからない。だが、蜘蛛の意識が彼に向いている今が絶好の機会だ。彼にいついつ蜘蛛になる、まず手足が縮みはじめて…と時計を手にしながら語っている。動けなくなるまではまだあるようだ。当の彼は無理すぎると騒いでいるが。
彼が動けるうちに終わらせなければ。そして、早急に蝶屋敷へ連れていこう。
技を繰り出せ。
『存在の呼吸、伍ノ型…』
「その女も刺せ!」
『っ!?』
小さい蜘蛛が私の周りに群がってきた。ここで私も刺されては、二人もいるというのに彼と仲良くお陀仏だ。
高く飛び上がり、口から針を出す蜘蛛から距離をとる。
『あの…そこの!』
「俺!?俺は善逸!我妻善逸っての!!」
『我妻さん!私はAです!まだ動けますか!鬼を討つか蜘蛛を相手にするかどちらかお願いします!降りて来てください!』
糸で逆さ吊りの鬼はニヤニヤしながらこちらを見ている。足元で蜘蛛が鬱陶しく動き回るので走って避けながら、彼に声をかけた。…が、ブンブンと頭を振ってその場から動こうとしなかった。
『そんな所にいてもまた蜘蛛に刺されるだけです、降りてきて私と一緒に戦って…』
「ごめん、分かってる、分かってるって!!俺だって精一杯頑張ってるんだよ!!なのに結果がついてこないの!!」
夜も寝ないで鍛錬した、それなのに自分には何も出来なかった!!ボロボロ泣きながらそう訴える彼の瞳に嘘はない。いや、なぜ私が逆ギレされているのだろう。鬼にきれているのか?
…そうこうしている間に蜘蛛が彼のいる木に登り始めた。
「ヒギャッ!登ってくるなよ!ちょっとでいいから放っといて!!」
彼は動こうともせず、頭を抱えている。
どうするべきなのだ。こういうとき私はどう動くのが最善なのだろう。彼を助ける?まず鬼を殺す?しかし蜘蛛もたくさんいるから、彼の方へ何匹か行っていても私の方にまだいる。
彼は、戦えないのか…?まさか、そんな…
「ハハハッ、為す術もないな?大人しく蜘蛛になればいいんだよ」
どうすれば、どうすれば…!彼を戦力外と見なすのか、戦わせるのか……
「…あ」
彼の方を見遣れば、自身の髪の束を手にして動きが停止していた。
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シャンプー(プロフ) - ゆーさんさん» 不快に思われたのなら申し訳ありません。注意書きを付け足しておこうと思います。 (2019年8月9日 12時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーさん(プロフ) - あくまで二次創作ですので、時透母についてはこういう人なのだというような感想を持たないようにお願いします。 (2019年8月8日 17時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - にこちゃんさん» ありがとうございますー!!!私も時透くん推しです!!じわじわ書き進めておりますのでまったりお待ちくださいませ…!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
にこちゃん - 私、推しが時透君なので嬉しいです!更新待ってます!応援しています!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!時透くんかっこかわいいですよね!頑張ります…!! (2019年7月22日 17時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャンプー | 作成日時:2019年7月22日 1時