十六話 ページ18
ある、霧の濃い日のことだった。
小さな女の子たちが消えると噂の小さな街へと駆り出されていた。私が体が小さいのもあるのだろう、小さいながら力はあるため囮作戦か。
深夜ということもあり、視界が悪いと顔を顰めながら歩いていた。
ふと、前方から人影が近寄ってきた。
鬼か…?と少しだけ、分からないように刀に手をかける。
…いや、違う。鬼の気配は近くには無い。
霧のせいで、顔が認識できない。身長は私よりは高いけれどそんなに高くもなく、髪は長くて…足音がしない。鬼殺隊だろうか。今日のこれは、共同任務だっただろうか?
「…あ。君が共同任務の」
『…!!』
霞柱、兄だった。ついに再会を果たした。
喜びもありながら、忘れられているのだという悔しさもあった。
『に…無一郎、さんですよね』
「うん。…前、どこかで会った?」
『会いました。一度だけ』
「そう」
心を落ち着かせて、普通を装う。大丈夫、もう心を決めたんだ。
『私はAです。よろしくお願いします』
「……A?本当に会ったのは一度?」
『…!は、はい。お館様の御屋敷で、少しだけ』
「…そう。まあいいや」
今日はこの街の鬼を狩る、君は女の子だから囮。そう言われて頷き、街を徘徊する。
ああ、兄だ。声も少し変わってはいるものの、聞き馴染みのある声。抱きつきたいような、距離を置きたいような、変な感じがする。
駄目、今は任務に集中だ。頬をぱちんと両手で叩いて、鬼の気配を探った。
横にいる兄も兄で気配を探っているらしく、少しきょろきょろしながら、こちらには見向きもしなかった。
『…あの。二ヶ月で柱になったって聞いたんですけど、どんなことをしたんですか』
「別に。鍛錬しただけ」
『どんな…』
「よく分からない、感情に任せて」
…兄弟を失った悲しみ?もう少し何かを引き出せないか…
『感情って、』
「なんでそんなに聞くの?知ってどうするの」
す、すみませんと謝る。こんなに冷たいことを言う人だっただろうか。まるで、少し機嫌の悪い時のゆう兄ちゃんのような、ぶっきらぼうな言い方だった。
これ以上は何も聞けないだろう。黙って横を歩いていた。
「…いる、そこ」
『はい』
刀を背中に回して隠し、無防備な少女のふりをして、鬼の気配のする曲がり角へと歩みを進めた。
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シャンプー(プロフ) - ゆーさんさん» 不快に思われたのなら申し訳ありません。注意書きを付け足しておこうと思います。 (2019年8月9日 12時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーさん(プロフ) - あくまで二次創作ですので、時透母についてはこういう人なのだというような感想を持たないようにお願いします。 (2019年8月8日 17時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - にこちゃんさん» ありがとうございますー!!!私も時透くん推しです!!じわじわ書き進めておりますのでまったりお待ちくださいませ…!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
にこちゃん - 私、推しが時透君なので嬉しいです!更新待ってます!応援しています!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!時透くんかっこかわいいですよね!頑張ります…!! (2019年7月22日 17時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャンプー | 作成日時:2019年7月22日 1時