四十三話 ページ45
どこまで飛ぶのだろう。もう明るかった街ははるか遠く、目で追っているから帰り道は分かるもののかなり遠くまで飛ばされているようだった。
柱になったというのにこのザマだ。不甲斐なし。油断していた訳では無いのに。
そういえば、不意打ちに弱いというのは柱との手合わせでわかった事だった。なんということだ。克服出来ていないじゃないか。しかし刀では受けたし、あの血鬼術は予測できない。大体私のようなかよわい(?)女の子を叩くなど人道的にどうなのか。いや人ではなかった。
なんだかイライラしてきた。持っていたプリンもどこかに行った。任務前に買い物した私が悪いというのか。やはり鬼、許すまじ。
突然横にかかっていた力が無くなり、急降下を始めた。心臓がヒュッとなるこの感覚はなかなか苦手だ。この高さから地面に激突すれば死ぬだろう。
技をつかって衝撃を減らす。
『存在の呼吸、弐ノ型…っ、!?』
…減らそうと思ったら、なにかに衝突した。構えていたから衝撃をもろに受けたわけではないが、びっくりした。ほんとうにびっくりした。
見れば舞い上がるのは木の欠片。おかしい。目の前は地面だったはずだ。木など生えていなかった。
ぼふっと布に落下した感覚がして、すぐさま起き上がり辺りを見回す。
…部屋だ。部屋の中。
「何者だ!!」
扉が乱暴にあけられ、少年が飛び込んできた。
『す、すみません、飛ばされて落ちたら、なかったのに家が…』
「飛ばされて…?何寝ぼけたことを言っている!何が目的だ!」
少年がギャンギャン騒ぐ。拳には力が入り今すぐにでもなぐりかかってきそうだった。
『ほんとすみません屋根壊してしまって…目的とかなくて…あっ私悪者ではないんですけど…危害絶対加えません待って、今の状況がよく分かってなくて』
「名乗れ!」
『あっ…Aです、Aといいます』
「ふん、大人しく名乗るか…本当の目的はなんだ!」
『だからそんなのではなくて』
聞く耳を持っていない。いや、それはそうか。突然家の中に知らない人が飛び込んできたのだ。当然の反応だろう。しかしどうしたものか。両手を上げて正座の姿勢から動けない。
「愈史郎、待ちなさい」
「たっ珠世様!しかし」
「Aさんと言いましたね。見たところ鬼殺隊でしょう。怪我をしているようです。こちらへ」
『あ、あの…』
「怪しいものではありません。私はしがない医者です」
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シャンプー(プロフ) - ゆーさんさん» 不快に思われたのなら申し訳ありません。注意書きを付け足しておこうと思います。 (2019年8月9日 12時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーさん(プロフ) - あくまで二次創作ですので、時透母についてはこういう人なのだというような感想を持たないようにお願いします。 (2019年8月8日 17時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - にこちゃんさん» ありがとうございますー!!!私も時透くん推しです!!じわじわ書き進めておりますのでまったりお待ちくださいませ…!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
にこちゃん - 私、推しが時透君なので嬉しいです!更新待ってます!応援しています!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!時透くんかっこかわいいですよね!頑張ります…!! (2019年7月22日 17時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャンプー | 作成日時:2019年7月22日 1時