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番外編・6 ページ45

五人が広い公園の中を散策していると、いきなり悲鳴が聞こえた。高い女の声だった。何事かと公園にいる全員が、声のしたほうへ顔を向ける。
「こ、来ないで、来ないで……!」
木の影に隠れていたので、女の姿はところどころにしか見えなかった__タイツを履いた脚や明るい色の髪はかろうじて見えた__が、とにかく五人はその声のした方へ走った。
「イマジンだったらどうする?」
走っている途中でウラタロスが訊く。
「倒すだけだろ」
モモタロスが答えた。
「イマジンじゃなくても助けるもん!」
リュウタロスは唇を尖らせる。
「偉いで、リュウタ」
キンタロスはそんなリュウタロスを褒めた。

***

「や、やだ……こないで……」
女は、地面に尻もちをつきながら後ずさりしていた。
「あれって」
リュウタロスが立ち止まり、目の前の光景を指差す。
「イマジン……?」
その言葉に、四人も女の前に仁王立ちのようにして立っている者の姿を、目を凝らして見つめた。
__女を襲っていたのは、猿、のような姿をしたイマジンだった。鋭い爪と牙で威嚇している。
「先輩、猿って先輩の子分だったよね?」
ウラタロスがモモタロスを見て笑った。
「きびだんごあげたら懐くかなー?」
リュウタロスは呑気にそんなことを呟いている。
「いや、助けましょうよ。困ってます、あのひと」
ぐだぐだとそんなことをして時間が過ぎていくのをもどかしく思ったAは、四人の返事も聞かず一人で飛び出した。
「そのひとから離れろ!」
そう叫び、手をを己の身体の前に出し、掌を敵に向けた。たちまち手の中にあの剣が出現し、Aはそれを強く握りしめる。
「え……Aちゃん、どうしてまだあの剣が出せるの……?」
疑問に思ったウラタロスは、顎に手をあて首を傾げた。キンタロスも首を傾げている。
Aは、デンライナーから離れ、ターミナルとの契約を切った際、駅長から特別に与えられた、剣をその場に出現させるというちょっとした力を駅長に返したはずである。
なのに何故、今その能力が使えるのか。
「亀公」
しばらく考え込んでいると、隣から声が聞こえた。モモタロスの声だ。
「ぐずぐずしてねぇで、行くぞ!」
モモタロスは、既に電王になっていた。
電王・ソードフォーム。
パスとベルトは四人分用意されていた。万が一に備えてのことだった。
「俺、__参上!行くぜ行くぜ行くぜぇっ!」
モモタロスは決め台詞を放つと、猿のイマジンのほうへ走っていってしまった。

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星砕(プロフ) - にわとりさん» すみません、お友だち申請とかはよく分からないので、申し訳ないのですができないです……すみません!小説のほうは、受験生ですので難しいかもしれませんが、時間のある時に読んでみます!お誘い、ありがとうございます!これからも応援、よろしくお願いします! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
にわとり(プロフ) - ありがとうございます..!あの、宣伝とかじゃないんですがよければ私のお話読んで意見とか良ければ下さい..!また、友達申請を送っても大丈夫ですか? (2019年8月26日 22時) (レス) id: b7c5b25082 (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - にわとりさん» コメントありがとうございます!番外編は前々から書きたいと思ってました!まだ続きますので、まだ少しだけ、異時点の少女の物語にお付き合い下さい! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
にわとり(プロフ) - 少しの続きが見られて嬉しいです! (2019年8月26日 22時) (レス) id: b7c5b25082 (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - 柚子×2さん» コメントありがとうございます!イマジンは癒やされますよね!実は私いまさら電王にはまってしまいまして……電王面白いですよね!応援ありがとうございます! (2019年6月10日 22時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星砕 | 作成日時:2019年5月4日 14時

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