救出作戦 ページ20
得体の知れない、薬液のつんとした匂い。
一歩進めるごとに、段々と暗くなっていく廃工場。
中の冷たさは足の先からじっくり伝わり、じめじめとした不快な感覚が纏わり付く。
そんな廃工場の中は、木の根……のようなもので埋め尽くされていた。
「ねぇねぇ、ほんとに、この中にAちゃんが……？」
不安がるリュウタロスに、ウラタロスが優しく答える。
「多分、そのはず。……大丈夫、Aちゃんは絶対に、見つけ出すから」
……その傍ら、何やらジークが、何かを見つけたらしく。
「あれは……？」
そう呟いて、すたすたと奥へ奥へと進んでいくジーク。
「ちょ、単独行動しないでよ」
ウラタロスが追いかけるころには、ジークの姿はすっかり、木の根の影に隠れてしまっていた。
※※※
「ふむ、これは……」
ジークが辿り着いたのは、廃工場の入り口から遠く離れた、ひとつの木の幹。
普通の木では考えられないほど、その幹は何重もの枝で守られていた。
……が＿＿。
「喜べ。メイドをみつけた」
「……はっ？」
ジークが指をさしたほうを見やれば、そこには。
「……！Aちゃん！」
ようやくジークに追いついたイマジンらは、その幹に近寄った。
……ジークが指をさした木の幹には、傷だらけ、血だらけで気を失った、Aがいた。
幹、といっても、それは普通の幹ではなく。
一部分だけ貫通して穴があいており、そこにAが眠るようにしていたのである。そして、幾数もの枝が、その幹の周りを囲む。
ウラタロスはなんとかしてAを助け出そうと、あれこれ思考を巡らせる。
……と。
「退け、亀公」
そのすぐ隣を、モモタロスが駆け抜けた。
……電王に変身した状態で。
「え、ちょ、先輩……？」
呆気にとられ、驚くウラタロスに見向きもせず、モモタロスはそのまま走り抜け、そして＿＿
「……だあっ、クソっ！なんでこんな硬ぇんだよ、この枝！」
剣状のデンガッシャーで、Aを取り囲む枝々を叩き切っていく。
この形状……ソードモードのデンガッシャーは、一撃で厚さ三十センチもの鉄を真っ二つにすることができるほど、大きな威力を持つ。
よって、木の枝を切ることなど容易いはず……なのだが。
意外にもこの枝は、予想に反してあまりにも硬く。
そして何より＿＿
「なんでこんなに多いんだよ、この枝！」
……数が、多すぎたのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星砕(プロフ) - にわとりさん» すみません、お友だち申請とかはよく分からないので、申し訳ないのですができないです……すみません！小説のほうは、受験生ですので難しいかもしれませんが、時間のある時に読んでみます！お誘い、ありがとうございます！これからも応援、よろしくお願いします！ (2019年8月26日 22時) (
レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
にわとり(プロフ) - ありがとうございます..！あの、宣伝とかじゃないんですがよければ私のお話読んで意見とか良ければ下さい..！また、友達申請を送っても大丈夫ですか？ (2019年8月26日 22時) (レス) id: b7c5b25082 (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - にわとりさん» コメントありがとうございます！番外編は前々から書きたいと思ってました！まだ続きますので、まだ少しだけ、異時点の少女の物語にお付き合い下さい！ (2019年8月26日 22時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
にわとり(プロフ) - 少しの続きが見られて嬉しいです！ (2019年8月26日 22時) (レス) id: b7c5b25082 (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - 柚子×2さん» コメントありがとうございます！イマジンは癒やされますよね！実は私いまさら電王にはまってしまいまして……電王面白いですよね！応援ありがとうございます！ (2019年6月10日 22時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星砕 | 作成日時：2019年5月4日 14時
