･― Another side ページ39
健side
今日は剛と一緒に番組収録。
「おはよー」
「はよ〜」
ダルっそうだなぁ(笑)
そんな剛を見てると眠気が復活して、欠伸が出た。
「なんだよ、寝不足か？」
「撮影遅かったからさぁ」
というか、昨日は特別色々あったし。
「へぇ、調子はどう？」
「えっとぉ……」
どっから話そうかなーと考えていたら
「とっても順調です！！」
いきなり長本が割り込んできた。
「ちょ、なんでお前が答えてんだよ」
ヒャッヒャッと剛が笑ってる。
「ね！三宅さん？」
「えぇ、なに？剛にも言っちゃだめなのぉ？」
「は？なにを？？」
全く状況が読み込めない剛は不思議そうな顔をしている。
「剛には…なんか危険だからダメ！」
その時、長本さーん、と別のスタッフから呼ばれた。
楽屋を去る時、目力でめちゃくちゃ圧掛けられたけど……
「剛、今からひとりごと言うね」
「なんだそれ」
「今、相手役の子と一緒に住んでる。この事は、俺とその子のマネージャーしか知らない」
「はっ？なにそれおもしれぇ」
めちゃくちゃ食いついてきた。
ひとりごとなんだけどな〜
「俺も当日まで知らされてなかったんだけどさ」
まじかよ、とか言ってまた笑ってる。
「で、その子、共演者の1人から嫌がらせ受けてて。なんでかな、今 俺もつらい……」
これには剛も黙ってた。
自分で声に出して気づく。
本当にAの心が乗り移ったみたいにつらい。
そしたらいきなり剛が立ち上がって
後ろからパシーンっと俺の両肩を叩いた。
「ひとりごとデカいからガッツリ聞こえてたけど、
またいつでも1人で喋ってろ。俺がいる時に」
やっぱり剛のそういうとこ好き。
振り返ってみると、剛の八重歯がチラッと見えた。
「そろそろスタンバイお願いしまーす」
「はーい」
今日もカメラの前では
何事もなかったように笑っている。
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2020年6月27日 1時
