今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:61,500 hit
小｜中｜大
･ ページ2
1人で暮らすアパートへと向かう電車の中で
貰ったばかりの名刺を見つめていた。
さっき声をかけられた賑やかな街からは、
どんどん遠ざかってゆく。
スクリーンの中で動く自分を
ぼんやりと想像してみる。
でも、
自分がどんな表情で、
どんな声で、
どんな仕草なのか、
1度も客観的に見たことがない。
だから頭の中でさえ上手く描けなかった。
ただ、こんなチャンスはもう二度とないと思った。
演技経験なんて無いに等しい。
それなのに、
幼い頃から密かに憧れ続けていた、
画面の向こう側の世界。
この名刺は、そこに入るための唯一の切符だと思った。
降りた駅のホームのベンチに座り、
そこに書かれた電話番号へと発信していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2020年6月27日 1時
