とある失意の超能力者＆とある絶望の絶対能力

３２０歩 ページ31

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「でも、なんか雰囲気変わりました？」

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佐天という名の少女が私の方を見る。

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「特には…。変わってないはずだけど」

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だから、知らないってば。

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「雰囲気って言うのはあくまでも客観的な物ですからね。私も変わってないと思いますよ？」

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「えー？あたしの勘違い？」

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「思い込みですよ、佐天さんの場合は」

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「さりげなく、酷いこと言ってくれるね。初春は。」

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前の私は、この中にいた。

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…あの家にいる方が落ち着く…。

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あの人の横にいる方が落ち着く。

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あのぶっきらぼうな態度が、丁度いい。

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親しみ過ぎず、疎遠すぎもせず。

あの距離感。

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…早く帰ろう。

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「じゃ、…用あるから。」

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「家に帰るの？」

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「まだ、終わってないことがあるから帰らない。」

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ふーん。

御坂はそれだけ言った。

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今、そんな御坂の妹が大変なんだけど。

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お姉さんには言わないほうがいいだろう。

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大丈夫。

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私が、何してでも、助けて見せるから。

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何も思い出の無いこの街で生きてたって大した希望は見えそうにない。

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会いたいアイツだって、もう、会えないに決まってる。

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何で、会いたいのか。それは最後まで分かりそうにない。

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死ぬ気で、打ち止めを助けて見せる。

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クソみたいな能力だけど、

希望を生み出せない能力だけど、

死ぬ気になれば、何かあがけるよ。

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そう、信じたい。

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