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上司の飲みのお誘いやら、突然任された仕事の処理やら、いろいろ終わらせて、なんとか予定通りの時間の電車に駆け込んだ。
「ただいま」
「あ、おかえり―！」
満面の笑みでお迎えしてくれる、部屋着の智くん。
シャンプーの匂いがするから、一足先にお風呂に入ったんだろう。
「今日何してたの？」
「んー、あれから寝てー、起きてー、あ、そーいや、家から出てへんなー」
いや、ニートか。引きこもりか。
「ちゃうし！ちゃんと働いてるし！」
「あ、心の声漏れてた」
「ちょーいちょいちょい」
テンション高めの智くんが面白くて、思わず笑みがこぼれた。
「ま、とりあえず、ご飯食べよ、」
智くんに腕を引かれてダイニングテーブルへ行くと、どこぞのレストランかというほどの豪華メニュー。
「最近、ラジオとかでやたら聞かれるからさ、久々に凝ってみた」
へへ、と笑う智くんは、安定のどや顔。
「いただきまーす」
二人で手を合わせて、ぱくっと一口。
「ど？」
「おいしいー！」
「やろ？」
どんどんひどくなっていくどや顔に、私はこっそり笑った。
食事が終わって、私もお風呂入ろう、と立ち上がると、
「あ、待って、」
と、智くんに引き留められた。
はい、と渡されたのは、大きめの真っ赤なパーカー。
「これ、オレのやけど、レディースやからいけると思う。これなら、Aでも着てくれるかなって思って持ってきた。かわいいやろ？」
「えぇ……かわいいけど、色派手すぎない？」
「大丈夫やって、絶対似合うから！」
自分で買うときはこんなに派手な色買わないから、似合う自信が全くない。
「あーもう、大丈夫やから！ほら！風呂出たらこれ着て！」
無理矢理押し付けられて、ホイホイと風呂場に押しやられた。
ゆっくりシャワーを浴びて、仕方なくそれに着替える。
鏡の前に立ってみると、なんだか、ダボってしてて、サイズがあってない感じ。
違和感しかない。
「智くーん、」
「あ、あがった？着た？」
そういいながら近づいてきた智くんは、私を見て固まった。
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作者名：カミツレ | 作成日時：2017年9月30日 13時
