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「……うるさ……」
ジリリリリ……と鳴り続ける目覚ましを手探りで探して、音を止めて、リターン布団。
「いや、起きなさい！うぇいくあーーーっぷ！！」
智くんに揺さぶられて、仕方なく、むくっと体を起こす。
「うっわ、機嫌悪そうな顔しとんなー。」
「……眠い。」
「でも、仕事やろ？ほら、朝御飯作ったから起きや？おはよ。」
智くんが朝からこんなに元気なんて、珍しい。
どうしたのかと思いながらリビングに行くと、ソファにスマホとゲーム機が転がっていて、あぁ、ゲームしてオールか、と気づいた。
おそらく、昨晩私をベッドに運んで、眠ったのを確認したら、自分はゲーム三昧だったんだろう。
「智くん、ゲームしてたの？」
「あー、バレたー？そやねん、ブルーライト浴びまくって、もう目ギンギン。」
苦笑いをしながら用意してくれた朝御飯は、ご飯に味噌汁、おひたしと鮭の塩焼き。
THE朝御飯だけど、作るのが面倒くさいものばかりで、さすがシェフ神山って感じのメニュー。
「あ、弁当も作っといたからな。」
……さすが主夫。
「ありがとう。……いただきます」
「はい、どうぞ」
ズズッとすすった味噌汁が、体に染みた。
「御馳走様でした」
「御粗末様でした」
美味しくていつもよりたくさんご飯を食べてたら、もう時間がない。
急いで準備して、家を出ないと。
「いってきまーす」
「いってらっしゃーい。あ、待って、忘れもん、」
と、私に渡してきた、お弁当。
「わぁっ忘れてた！ありがとうっ！」
「忘れんといてーー」
ぷくっとほっぺを膨らませて、すねる智くんを見て、私はクスッと笑った。
と思えば、
「今日の夜、早く帰ってきてなっ！」
なんて、子供っぽく言う。
なんだか子犬みたいで、年上だけど、かわいく見えた。
「がんばるね。じゃあ、」
「あ、待って待って、」
智くんは、もう一個忘れもん、と私の頬にキスをした。
智くんの突然の変容に、やっぱり顔は熱を帯びる。
「――！いってきますっ！」
「はい、いってらっしゃい。」
照れ隠しにもう一回挨拶をして、家を出た。
なんで昨日マスクもってこればよかったって思ったのに、忘れてるんだ。私のバカ。
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作者名：カミツレ | 作成日時：2017年9月30日 13時
