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「なんやねん、続き気になるやろ。」
「言わない。」
「は？」
「照史、私のこと嫌いになるから。」
「なんやそれ、ならんわ。言いたいことは言ってくれなわからんやろ。」
イライラしてる照史。言わないとずっとイライラさせたまま。
そもそも、言いかけた自分が悪い。
仕方ない。
どうにでもなれ。
「……ファンの人にはいっぱい喋ってて、そんなにファンが好きならなんで私と付き合ってるの、……って。」
沈黙が怖くて、俯いて一気に不満をぶちまける。
「分かってるんだよ、照史は芸能人で、だから我慢しなきゃダメなこともあるって。
だから、照史の一人の時間だって尊重してるつもりだし、友達にもあんまりのろけないようにしてるし。
それに、その分、一般人と付き合ってたら見えない景色も、いっぱい見せてもらってる。
それで十分だって思ってた。
それでも、やっぱり寂しかった。」
めんどくさいよね、ごめん。
そう呟いたら、もう申し訳なさで照史の顔が見れなかった。
「……アホ。」
そういう照史の声は、優しくなってて。
気づいたら、照史の腕の中。
「そういうことは、溜め込まずにはよ言えや。」
言ってることは怒ってるみたいだったけど、上から降ってくる声はやっぱり優しかった。
でもよかった、
と照史が呟いて、私は、
ん？
と顔を見上げた。
「お前も、妬くんやな。」
「なっ……！そんなんじゃ、」
「俺も、A不足やってん。
本当はな、今日、沖縄行く予定は無かってん。
二人で居ようと思ってたのに、お前、芽衣ちゃんとデートするとか言いだすやろ？
意味わからんかったし。」
一緒に居りたいの俺だけかと思って、寂しかってん。ごめん。
そう耳元で話して、ハハッと笑った照史の声からは、嫉妬している私を元気付けようとわざと茶化してくれていることが伝わって、不覚にも泣きそうになった。
「……ばか。」
「関西人に、ばか言うな。」
「あほ。あほ。あほ。」
「おおきにー。」
ふざけた声色の照史。
おおきに、なんて、普段言わないくせに。
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作者名：カミツレ | 作成日時：2017年9月30日 13時
