3 ページ13
「芽衣ちゃん、お魚さんいっぱいだねー！」
私の手をぎゅっと握りしめて、歩いてる芽衣ちゃん。
小さい子って、歩くだけでもすごく一生懸命に見えて、かわいい。
「わぁ、すごーい！海の中覗いてるみたい！」
「しゅごーい！」
子供といると、自然に私も反応が大きくなる。
芽衣ちゃんも、きゃっきゃと喜んでる。
その後ろから、保護者のようについてくる、大人の男二人組。
「なんか、シュール……」
思わず口に出すと、
「Aちゃんが芽衣奪うからやん」
とお兄さんに笑われた。
「私は芽衣ちゃんとデートしてるんですー！」
私がわざとらしく頬を膨らませると、
「……Aちゃんって、アホやな」
と、酷い言葉を投げて、苦笑いする、お兄さん。
「え、何でですか！」
と問い詰めたけど、全然答えてくれなかったから、質問は諦めた。
「ねぇちゃ！パシャッしよ！ぱぱ、パシャッして！」
「はいはい、」
テンションが最高に上がっている芽衣ちゃんのご要望で、写真撮影大会がスタート。
まだ苦笑いの残るお兄さんに、私はスマホを渡した。
「ちゃんと魚入れてくださいね、なんの写真か分かんなくなっちゃう」
「おう、いくで、はい、チーズ」
確認すると、二人ともめっちゃ笑顔の、良い写真になっていた。
「ありがとうございます！さすがお兄さん、撮るの上手ですね！」
「そりゃ、俺やからな」
「お兄さんも、撮りましょうか？」
「おお、頼むわ」
「いきますよ！はい、チーズ！」
お、いいところでジンベエザメ。
「Aちゃんも、うまいな」
「我ながら、すごいですねー」
「ってなんやねん、この自画自賛大会」
さすが照史のお兄さん、ツッコミまでできるさしい。
照史とも撮りたいな、
と思い、チラ、と照史を見ると、営業スマイルだけど、不機嫌そう。
今撮ってもあんまり良い写真撮れないかな、後で撮ろう、
と、そっとスマホをしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カミツレ | 作成日時：2017年9月30日 13時
