日常 Red 1 ページ2
「Aー」
「ん？」
「ほれっ」
「ぎゃっ！」
「アヒャヒャヒャ！どっから声だしてんねん！変な声ー！」
「……だーいーきー！」
いい年して虫のおもちゃを投げてくるこの男は、何を隠そう私の彼氏である。
「もう、早くどけて！」
おもちゃから一定距離を置いて、彼を睨み付ける私を見て、彼はまた独特の笑い声を上げた。
「こいつええやろ、今日�陲舛磴鵑砲發蕕辰討鵝�」
「……�霤弔気鵝帖帖�
私はすぐにスマホを取り出し、�霤弔気鵑膨絞原貍陬瓠璽襪鯀�りまくった。
一度、大毅に、
「何でそんなことするの」
と聞いたことがある。
その返事は、
「そんなん、反応がおもろいからに決まっとるやろ」
だった。
そんなことを言われても、やられているこっちはなんにもおもしろくないので、彼との付き合いが長い神山さんに相談したこともある。
すると、
「あー、しげ、仲良い人にはずぶずぶやからなー。あいつなりの愛情表現やねん、多分。受け止めたって。」
と言われた。好きな人に嫌がらせして愛情表現とか、本当に5歳児だ。
「Aー！見て見て！」
「うわあぁ！」
「アヒャヒャ！」
「……いい加減にしろー！」
私はかなりの頻度で、彼のこのうざがらみに付き合わされている。
そんな彼は、ジョギングが日課。
元陸上部の長距離選手であり、元ジムのインストラクターの私も、朝ジョギングが日課だった。
それを知ってからというもの、時間が合うときは一緒に走っている。
彼の仕事がなければ、朝5時半からジョギング。
その方が、人は少ないし、気づいても騒ぐような人はいない。
コースも毎日変えているから、特定の人と毎日会うなんてこともない。
実際問題、彼の仕事の性質上、帰ってくるのが朝なんてこともざらにあるから、実際は一緒に走れる確率は半分くらい。
でも、彼はああ見えてかなり真面目だから、時間がずれても毎日ストイックに続けているみたいだ。
私も、うざいと思いつつこんなに長く付き合っているのは、そんな彼のそういう性格が好きだからだろう。
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作者名：カミツレ | 作成日時：2017年9月30日 13時
