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作ったご飯は5人だけじゃなくスタッフさんも美味しいと言って食べてくれて気分良く1日目を終えることができた。
2日目。いつもと同じ時間に起きて朝の準備をする。
さすがに昨日のロケで疲れたのか、蒼弥も作間さんも5時に起きてくることは無かった。
久しぶりに1人で過ごす朝に少し寂しさを覚える。
「おはよ、A」
「瑞稀くん?!」
今日1番に起きてきたのは意外にも瑞稀くん。
寝起きとは思えない疲れ切った顔をしていた。
「昨日バスの中でずっと寝てたから早起きしちゃった。いつもこんな早くから起きてんだね」
「そういうことか…。うん。お弁当とか昨日の洗濯とかでどうしてもこのくらいに起きなきゃ間に合わなくて。」
「やっぱみんな頑張ってるよな〜…」
ため息をついて座り込む瑞稀くん。
「何かあったの?」
「…Aだから言うよ。まだ誰にも言ってないから内緒ね。」
「うん。」
「ここ来たきっかけがストーカーって言ったじゃん。最近夜になるとそのストーカーの夢を見るんだよ。実はそれのせいでまともに寝れてなくてさ。だから授業中とかもずっと寝ちゃって。遂にこの前寝過ぎが理由で担任と学年主任に呼び出されて残ってたんだ。」
「災難だね」
「授業中ずっと寝てるなんて学業とアイドルとの両立ができてないんじゃないかって怒られた。学年主任にはどっちか辞めろとまで言われたよ。」
自嘲するように言う瑞稀くん。
彼の話を聞いて学年主任の姿を思い浮かべた。
体育科で生活指導で、典型的な脳筋昭和教師といった感じの教師だ。
あの先生なら確かに言いそうだなと思った。
「だから俺学校辞めようと思って。」
「そうなんだ…ってえ?!なんで?!」
「どうせ寝ちゃうから授業聞けないし。主任に言われてはっとしたよ。確かに両立できてないなって。」
「だからと言って辞めるのは…。しかもストーカーのせいで寝れないなら学校辞めたところで解決にならないんじゃ…」
「仕事中は起きとけるからさ。学校辞めたら平日朝から晩までレッスンとか仕事できるでしょ。そしたら疲れて寝れるようになるかなと思って。」
「確かにそうかもしれないけど…」
「まあまだ考えてる段階だから、みんなには内緒ね。Aも夜遅くまで起きてこんな早起きしてるのに授業ちゃんと受けれてるから、俺が頑張れてないだけかもしれないし。」
「瑞稀くんは頑張ってるよ…」
「おはようございます。井上くん、早いね〜」
「おはようございます!…A、スタッフさん来たから、またね(コソッ)」
なんだかすっきりしないなぁ…
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作成日時:2023年3月22日 22時