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涼くんの騎馬の登場だ。
顔つきが先ほどとは変わり、なんだか凛々しい顔をしている。
こんなにも涼くんを頼もしく思ったのは初めてかもしれない
8騎目対8騎目。この勝負で全てが決まる。
試合開始を告げるピストルが鳴った。
相手は涼くんよりも体が大きく筋肉があって動きも速い。
何度もはちまきを取られかける。
しかし涼くんも負けてはいない。
筋肉自慢の割に相手の半分ほどしかない細腕を器用に動かし相手のはちまきに何度か手をかけた。
そうして勝負は5分に及んだ。
2人ともばててきたところで、涼くんが相手のはちまきをすっと解いたのだ。
涼くんが勝った…！
女子はもちろん、男子も喜びで叫んだ。
涼くんは照れくさそうに、でも自慢げに騎馬の上から取ったはちまきを天に掲げた。
更に歓声があがる。
プログラム2番からこんなに盛り上がって良いの…。
騎馬から降りた涼くんは相手と熱い抱擁を交わしていた。
スポーツマンシップだ…。
そんな大盛り上がりを見せた騎馬戦も終わり、次は3年生の学年競技。
男女ペアでの二人三脚。
優斗はどこだろ。…あ、いた。
隣の女の子と何か話している。
噂によると優斗のペアを巡って凄まじい戦いが行われたらしい。
あの女の子はその戦いを勝ち抜いたということか。
凄いな〜。
応援の気持ちを込めて優斗方を見ていると彼と目が合った。
満面の笑みで手を振ってくる。
振り返そうか迷ったけど隣の女の子が思い切りこっちを睨んできたので萎縮してしまう。代わりに隣にいた瑞稀くんが優斗に手を振っていた。
いや、最初から瑞稀くんに振ってたのかも。
瑞稀くんが振り返すのを確認した女の子はまた笑顔で優斗と話し始めた。
なんか複雑…。
そうしているうちにいよいよ競技スタート。
優斗たちはとても息が合っているとは思えなかったけど、そもそも優斗の足が速いので、女の子は引きずられながらもトップを走っていた。
…あれ？なんか女の子の様子がおかしい
女の子の足が動いていない。
もしかしてケガ？
それに紐も解けてしまっている。
優斗も気が付いたのか一瞬足を止めた。
しかし次の瞬間
「キャー！！！！」
会場にライブレベルの黄色い歓声が。
優斗はなんと女の子をお姫様抱っこして走り始めたのだ。
これはルール的に有りなのか。
止まっている間に抜かしてきたクラスを優斗は抜き返していく。
そして見事一位でゴール。
またもや大歓声が巻き起こったのだ。
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作成日時：2023年3月22日 22時
