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「瑞稀くん起きてこねーなー」
「もう俺たち出る時間なのにね」
優斗と作間さんが時計を見て瑞稀くんの心配をし始めた。
無理もない。
「私起こしてくるよ。どうせみんなより後に出るし。みんな先に行ったら良いんじゃない？」
「そうだね。ごめん、Aちゃん瑞稀をよろしく」
「Aー！俺のダンス見てろよ！」
「分かったよ蒼弥。うん。任せて涼くん。みんな、行ってらっしゃい。」
「「「「行ってきまーす」」」」
私は4人を見送って、瑞稀くんの部屋へ向かった。
コンコン
ノックするけど反応がない。
「瑞稀くーん、朝だよー。遅刻するよー。」
扉に向かって呼びかけるけど反応なし。
仕方ない…ちゃんと起こさないと困るのは瑞稀くんだもんね…。
私は瑞稀くんの部屋に入り、ベッドで寝ている瑞稀くんの体を揺らした。
「瑞稀くん！いい加減起きないとやばいよ！」
「…ん…A…」
「起きた？もうみんな家出ちゃったよ。」
「行かないで…」
「え？」
瑞稀くんに腕を引っ張られ瑞稀くんのベッドに引き摺り込まれてしまった私。
瑞稀くんはベッドの中で私を抱きしめた。
力が強い。出られない。
どうしよう…私まで遅刻しちゃう…
いつもならドギマギしちゃうような展開だけど、時間を気にし過ぎてそれどころでは無かった。
そうだ。
私は瑞稀くんの耳に口を近付けて
「瑞稀くーん！起きてー！！」
と叫んだ。
「わっ！！A？！なんでここに？！何してんの？！」
さすがに起きたみたいだ。
「起こしにきたら瑞稀くんに引き摺り込まれて動けなくなったんだよ！それより時間！遅刻するよ！早く準備して！」
「…え…現実だったの…？うわぁあ！やらかした！」
「何が？」
「何もない。それより遅れたらやばいよね、体育大会だし。」
「そうそう。早く早く！」
「着替えるから部屋出てくれない？というか家の鍵俺が閉めるからA家出ていいよ。遅刻するでしょ？」
「うん。そうするね。瑞稀くん、遅刻しないでね。」
「なるべく急ぐ。」
巻き添えで遅刻しそうになった私は走って学校に向かった。
リレー前のいい練習になったかもしれない。
死ぬほど疲れたけど。
校門を通ったのは遅刻判定2分前。
ギリギリセーフだ。良かった。
車でも使わない限り瑞稀くんの遅刻が確定しだけだけど。
「A！」
遅刻回避して安堵したのでのんびり歩いていると後ろから瑞稀くんの声。
え、もう到着したの？
振り向くと、瑞稀くんが軽自動車を見送っていた。
なるほど、田中に送ってもらったのか。
大変だな、マネージャー。
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作成日時：2023年3月22日 22時
