おままごと ページ5
「じゃあ〜みずきおにーちゃんがじゅえるのパパでーAおねーちゃんがじゅえるのママね!はなはきららのママするからさんにんでおちゃかい!」
突如始まったおままごと。じゅえるというのは全裸のリカちゃん人形で、きららは服を着ている方のリカちゃん人形だ。
お茶会ってなにしたら良いんだ…。
「あら〜じゅえるちゃんのパパとママ〜久しぶりね〜。おちゃかいしましょ!」
あ、始まっちゃった。
「きららちゃんママ〜久しぶりだね〜」
あたふたしている私をよそに瑞稀くんはじゅえるパパになりきった。
適応力がすごい。これがアイドル…。
「ほら、Aも」
小声で急かされた。やらないと
「きららちゃんママ〜。良いわね、お茶会しましょう。」
花ちゃん主催のおままごとはどこからそんな言葉を知ったのか
「こころちゃんママがふりんしててね〜」
だとか
「しゅうとめさんがいやなひとでね〜」
だとかドロドロした話題ばかりだった。
プロアイドルとしてにこにこ対応を続けていた瑞稀くんもかなり困惑していたくらいだ。
「それにしてもじゅえるちゃんのパパとママはいつもいっしょでなかよしね〜!うちのしゅじんはしごとばっかりで!」
「きららちゃんママは大変だね」
「そうなの!…やっぱり2人はなかよしだからちゅーしたりするの?」
「え?!」
「A、なりきれ!」
「え、えーと…朝とかに…するかな?」
「みせて!」
「「え?!」」
「なかよしなふたり、みたいわ!」
目をキラキラさせる花ちゃん。
「ここでは恥ずかしくてできないかな〜…?」
瑞稀くんが宥めるように花ちゃんに声をかける。しかし
「みせてくれないの…?」
と少し涙目になってしまった。
どうするべきだ…これ…。
私と瑞稀くんは顔を見合わせた。
「どうすれば良いんだ、これ…」
「分からないよ…。こんな小さな子を相手にしたの初めてだし…」
私たちが小声でそんな相談をしている間にも花ちゃんの目には涙が溜まっていく。泣いちゃう?
「…しかたない…。A」
「なに、」
息を吐いて何かを諦めた瑞稀くん。
次の瞬間、瑞稀くんは私の後頭部を持って本当に口がぶつかるのではないかというほど顔を私に近づけた。
「わー!なかよし!」
それを見て再びキラキラさせた目を取り戻す花ちゃん。
花ちゃんの角度からは本当にしているように見えたのだろう。
それにしてもびっくりした。
「瑞稀くん、びっくりしたじゃん…。」
「ごめん、こうするしか無いと思って」
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作成日時:2023年3月22日 22時