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「A〜良かったの、辞めちゃって。」
「うん。代わりの人を田中に紹介したし。田中には渋られたけど、次の子は私と違って男の子だし、みんな気に入ってくれるよ。」
「Aが良いなら良いけどさ。」
結局、私は寮母を辞めた。
記事が出る1日前、つまり昨日、みんなが寝静まった後に5人に置き手紙だけ置いて荷物をまとめ、お兄ちゃんの家に来たのだ。
どうしても寮母がいないと困ると田中が言うので、後継者に高校の入学金を貯める為に年齢を偽ってしたいたバイト先で出会った家事が趣味の遠藤くん(18歳)を紹介した。
同年代だし男の子だし、きっと私がいるよりみんなに良いだろう。
遠藤くんは今日から入ってくれるって言っていた。
そんな訳で無事に退職した訳なんだけど…次のバイト先探さなきゃな…。
寮母の仕事は給料良かったし家付きだし、条件としては最高だったんだけど…。
私はバイト先をネットで探すついでに、Twitterを開き、
“HiHi Jets”
と検索した。
Twitterのアイコンに触れるとみんなの事を思い出して少し悲しかった。
検索結果として出て来たのは
「ライブすごく良かった!みんなかっこよすぎる!」
とか
「次々にお仕事決まって凄い!さすがHiHi Jets!」
と言った平和なツイートばかりだった。
結論から言う。
週刊誌にあの記事が掲載される事は無かった。
というのも、
「可愛い妹が炎上したら困る☆」
という兄が仕事の飲み会でたまたま聞いたという大ブレーク中若手イケメン俳優の不倫ネタを提供し、もみ消したのだ。
兄曰く
「あいつ生意気でムカつくしこれで反省しただろ」
との事だけど…。
ネットでもその話題で持ちきりで私とみんなの話題が出る事は全く無かった。
これでみんなの未来を邪魔する事もない。
俳優さんには申し訳ないけど良かった。
その頃、HiHi Jets。
「起きて!瑞稀くん!」
「何、作ちゃん。今日休みでしょ。それより今日記事出る日だね。なんで説明しようか…。」
「Aさん、出て行った。それに見てよ、週刊誌。」
作間が瑞稀に渡したのは、5通の手紙の週刊誌。
手紙にはそれぞれ、宛名が書いてある。
瑞稀は先に週刊誌を開いた。
「…無いじゃん、俺たちの記事」
「そう。結局もみ消されたんだよ。手紙見て、朝起きたら机の上にあったんだけど。」
「俺の分だけ渡してくれたら良かったのに」
「ごめん、焦っちゃって」
瑞稀は5通の中から自分の分の手紙を抜き取り、読み始めた。
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作成日時:2023年3月22日 22時