マネージャー襲来 ページ31
「涼、どうした。こんな早朝に。」
「すみません。田中さん。しばらく泊めていただいても良いですか。」
「良いけど…寮は？どうしたの？喧嘩でもしたか？」
「まあ…そんなもんです。」
失踪からはや3日。
前に蒼弥を探した時のように近隣の宿泊できそうな施設を張っているものの、一向に見つからない。
ここ1週間はグループでの仕事も無いらしく、涼くんを見つけるには早くも絶望的な状況になっていた。
「はしもっちゃんこのまま戻ってこないんじゃ…もし仕事も来なかったら…」
「はしもっちゃんに限って仕事無断欠勤なんて事は無いだろ。」
「学校ずっと無断欠席してるじゃん。大事に出来ないから俺がずっと先生を誤魔化してるんだぞ。」
「どこ行ったんだよまじで…」
みんなも若干イライラし始めていた。
ピーンポーン
そんな時、突然インターホンの音。
「私出るね。はーい。」
「あ、A。田中だけど。家入れてもらって良い？」
「分かった。みんな、田中来たから家入れるね。」
「田中さん？なんで？」
「今日なんかあったっけ？」
突然のマネージャーの来訪に驚く4人。
私は玄関へ向かい、田中を出迎えた。
「やっほ、みんな元気してる？なんかイライラしてない？」
相変わらずノリが軽い…。
「ちょっと連日の疲れで…」
瑞稀くんが愛想笑いを浮かべる
「涼のこと？」
「「「「え」」」」
「なんで…」
田中が急に涼くんの話題を出した。
メンバー間の話だからマネージャーに伝えるのは仕事に弊害が生まれてから、と言っていた4人は困惑している。
「涼なら心配しなくても良いよ。」
「田中さん、居場所知ってるんですか？！」
前のめりになる優斗。
「うーん。ちょっとね。」
「どこにいるんですか。教えてください。」
真剣な顔で田中に迫る作間さん。
「今は教えられないな〜。涼が自分の意思で戻るって言うまでは。」
「田中さんの家にいるってことですね。」
「うん、そうそう〜って猪狩？！なんで？！」
「田中さんの話し方的にそうかなーって。その反応図星っすか？」
「いや〜…さすが頭いい奴は違うね〜…。」
蒼弥…すごい…。
涼くんは田中の家にいるのか。道理で見つからなかった訳だ。
「行くぞ、みんな。田中さんの家。」
「え、ちょっとみんな！まだ涼拗ねてるから！…行っちゃったか…」
田中の制止を無視して駆け出していく4人。呆然とする田中を横目に見ながら、私も彼らに着いて行こうと玄関へ向かった。
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作成日時：2023年3月22日 22時
