無茶振り ページ4
授業は寝るし、起きてたら起きてたで朝の事を考えて集中できないしで散々だった…。
とりあえず早く帰って仕事しないと…。
そう思って校門を潜ると、見慣れた人物が立っていた。
「よ、A。元気か？」
「お兄ちゃん！」
私のお兄ちゃん。この仕事を紹介してくれた田中とは小学校からの親友で、現在は田中と同じく芸能関係の仕事をしているそう。
「なんでお兄ちゃんがここに？」
「久しぶりにAの顔見たくてさ。仕事は順調？」
「うん。なんとか。」
「良かった。それで本題なんだけど…」
あ、何か用事あったんだ。
「え、Aさん？」
突如後ろから聞こえる声
「お、井上じゃん」
お兄ちゃんは瑞稀くんに笑顔で手を振り、瑞稀くんは会釈した。
知り合いなの？
「井上とはドラマの仕事で知り合ってさー。田中がHiHiのマネージャーだからその繋がりで紹介されたのがきっかけだけど。」
田中がHiHi Jetsのマネージャー？
色々初耳なんだけどこれで点と点が繋がった。
マネージャーだからみんなは田中のこと知ってたんだ。それでHiHi Jetsの寮母を探さなきゃ駄目でそれがめんどくさくて私に…。
こんなマネージャーで大丈夫なのかな、このグループ…。
私は今更ながらHiHi Jetsが心配になった。
「ちょうど良かった、井上。Aと一緒に俺の家来てくれない？」
「え…いや、でも人目もありますし…。」
「良いじゃん、車だからさ。」
「…わかりました。」
「ほら、A乗って。」
「うん…？！」
そうして私と瑞稀くんはお兄ちゃんの車に乗せられた。
家に行くって言った？
何の用事だろう…。
家に着き、お兄ちゃんに続いて中に入る。
この仕事をするまでここに住んでいたから少し懐かしさを感じた。
「おにーちゃん、このひとたちだれ？」
一人暮らしのはずの部屋から4歳くらいの女の子が駆け寄ってきた。そして私たちを見上げる。
「花と遊んでくれる人たちだぞー。瑞稀お兄さんとAお姉さんだ。」
「みずきおにーちゃん、Aおねーちゃん！くぎたはなです！よろしくおねがいします！」
「おー挨拶できて偉いなー」
「お兄ちゃん、どういう事？」
「実は友達の娘今日1日預かってたんだけど今から3時間ほど家空けなきゃならなくなって。井上とAにはこの子の世話を頼みたいんだ。て事で俺もう家出るから、頼んだ！今度なんか奢る！」
それだけ告げてお兄ちゃんは家を出て行った。
残された私と瑞稀くんは呆然と立ち尽くす。
「とりあえず…遊ぶ…？」
困惑しながらも私は瑞稀くんの提案を呑んだ。
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作成日時：2023年3月22日 22時
