夏休み開幕 ページ25
「A！海行こうぜ！海！」
今日から待ちに待った夏休み。
校門で私を待ち伏せしていた蒼弥はいつにもましてテンションが高かった。
「そんな人が多いところ行ったら危ないでしょ。今時ネットで色々晒されるのに…。」
「A、なんか瑞稀くん化してね？…良いじゃん、こうして一緒に帰ってる時点でアウトだよ、もう」
「わ、私！委員会の仕事忙しいから行けないかも！」
「目泳いでんぞ。分かりやすすぎ。なんでそんなに嫌がんの？」
「泳げなくて…」
「あっはっは！(笑)そんな事かよ！泳ぎくらい教えてやるよ(笑)それにさ、良いとこがあるんだよ。事務所の先輩に教えてもらったとこでさ。ほんとに全然人いないの。これで場所問題解決。だからな？行こうぜ」
「そこまで言うなら…」
「やっほ。Aちゃん、ガリさん。もちろん
蒼弥のごり押しに負けて首を縦に振った時、後ろから涼くんが話しかけてきた。
振り返ると、涼くんだけじゃなく、他の3人もいた。
「げっ…バレた…」
蒼弥はなぜかしまった…みたいな顔してる。
元々みんなで行くつもりだった私は状況がよく分かっていなかった。
「ガリさん、抜け駆けずるいぞ」
「俺たちの事誘わないとか無いよね？」
「海とか暑いだけじゃん、クーラー効いた部屋で寝てようよ」
口々に文句を言う優斗、作間さん、瑞稀くん。…瑞稀くんだけなんか文句の種類違うけど。
こうして海行きが決定した。
「A、嘘つくの下手すぎ(笑)」
みんなで並んでいると、優斗に軽く肩を叩かれた。
「見てたの？！」
「昔から下手だったよな(笑)」
「そんな優斗の前で嘘ついたっけな…」
とりあえず、泳ぐのはあまり好きではない私だけど、みんなと海に行けるのは何気に楽しみにしていた。
だから新しく水着を買ったりして、海に行く日に備えたのだ。
…しかし、海に行く約束が果たされる事は無かった。
「お前どの面下げて俺に話しかけてきてんの？」
「…ごめん、Aさんがそんな人だと思ってなかった。しばらく関わらないで貰えますか？自分の事は自分でするから。」
「…お前の事一瞬でも信用した俺が馬鹿だった。」
蒼弥と作間さん、瑞稀くんがある日を境に急に冷たくなった。
言っておくけどこれは夢じゃない。
ちゃんとした現実だ。
夢であって欲しいと思ったけど。
理由も分からない私はただ呆然とする他無かった。
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作成日時：2023年3月22日 22時
