日常 ページ18
「ご飯できたよ〜」
いつも通り夕飯を作り、リビングにいた優斗、涼くん、作間さんに声をかけた。
しかし呼んでいるのに彼らは動かない。
「優斗？涼くん？作間さん？どうしたの？あ、瑞稀くんと蒼弥呼んできてもらって良い？」
「…なんで呼び捨て？」
優斗はなぜか驚いた顔で私にそう聞いた。
「え？」
「あ、嫌じゃないんだぞ？いきなりだなって。ずっと苗字だっただろ？」
確かに最初は苗字だったけど最近はずっと呼び捨てだったはず
「瑞稀呼んできたよ。ガリさんは反応無かった」
涼くんだ。
蒼弥、いつも私のご飯楽しみにしてくれるのに…。
「瑞稀くん、部屋にいるの珍しいね」
寝起きなのか不機嫌そうな瑞稀くんに話しかけると3人はなぜか焦った顔をした。
「…馴れ馴れしく呼ばないでくれる？友達でも無いのに」
瑞稀くんは私にそう言い放って席に着いた。
前は友達だって言ってくれたのに…。
何か怒らせることしちゃった？
「…A、いきなり距離詰めるのは良いけど瑞稀くんには配慮した方が良いぞ」
呆然とする私に優斗は小声で話しかけてくる。
みんなどうしたの？
酷い雰囲気で始まった夕飯。
いつも通りみんなと食べようとしたけど、瑞稀くんから来るなオーラを感じたので久しぶりに台所で食べた。
しんとした部屋に扉が開く音が響く。
「蒼弥？何してたの？」
突然やってきた蒼弥に私が問いかけると、彼は黙って卓上のおかずに手をかけ、勢いよくひっくり返した。
「なんで…。」
「いつまでいんの？さっさと出てけよ。てか蒼弥？お前に名前呼び許可した覚えねーんだけど。きも。」
「ガリさん！言い過ぎ、しかもひっくり返すなんて…」
作間さんが立ち上がって注意するが蒼弥は怯まない。
「お前らも嫌だろ？こんなのが居座るの！」
がんっ！
突如鳴る鈍い音。
優斗が蒼弥を殴ったみたいだ。
「なにしてんだよ！Aに失礼だと思わねえのか！謝れ！」
「は？いきなり殴ってきて何？誰が謝るかよ。」
優斗の怒声、煽る蒼弥、慌てふためく涼くんと作間さん、間に入る瑞稀くん。
地獄だ。
「やめて！」
思わずそう叫んだ。
すると突然場面が変わり見慣れた天井。
「Aさんどうしたの？うなされてたよ？」
作間さんが心配そうな顔で私を見ていた。
夢か。
起き上がって、テレビ前を見ると、4人が野球を見て仲睦まじく騒いでいた。
「あ、A起きた」
「腹減った飯ー」
「ガリさん、Aちゃん疲れてるんだから」
「今良いの来たぞ！走れ！」
そんなみんなの様子を見て私はほっとした。
こんな日常がずっと続けば良いのに…。
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作成日時：2023年3月22日 22時
