悪夢再び ページ16
「もう諦めるわ、今回」
「いつも諦めてるでしょ」
「そう言うAも進んでないじゃん」
「瑞稀〜教えてこれ〜」
「なにそれ、そんなのやった？」
やって来ました、中間テスト。
合宿で油断していたし熱出した関係で全く勉強できていないまま前日を迎えてしまった。
作間さんは勉強する為に図書館へ、蒼弥は仕事で学校を早退してまだ帰ってきていない。
つまり、やばい人だけが集まる意味を成さない勉強会が再び開催されたのだ。
「優斗三年生なんだから1番勉強しないと」
「そんなん言っても俺大学行くつもりないし。もう良いかなー」
「高校の勉強くらいはちゃんとやっとかないと。貰える役の幅狭くなるよ。」
「相変わらず瑞稀くんは真面目だなー。」
やる気のない優斗を諭す瑞稀くん。
熱が下がったあと、瑞稀くんと夜に2人で話した。
合宿で思い切りアイドルに打ち込んだおかげで何かが吹っ切れたらしく、学校を辞めるのは踏みとどまったようだ。
瑞稀くんがクラスからいなくなるのは少し寂しいので良かった。
基本的に真面目な瑞稀くんは、続けると決めてから授業中寝る回数も減っていた。
そして今も誰よりも真剣にテスト勉強をしている。
一方、優斗は結局スマホで野球を見始め、涼くんはかなりうとうとしていた。
私も全く理解できず進んでいないんだけど。
優斗はもう放っておこう。
「涼くん、私たちこのままだとまた補習だよ。頑張ろうよ。」
「うーん…Aちゃんとまた補習受けられるなら俺は別に良いかなぁ〜？」
熱出した時からなんとなく涼くんの様子がおかしい気がする。
「変な事言ってないで、2人寄れば真珠の知恵って言うじゃん。一緒に勉強しよ。」
「三人寄れば文殊の知恵、な。」
「蒼弥？！おかえり」
部屋の扉の方からつっこむ声が聞こえてきたと思えば…。
「お前本当にアホだな。てか何？このメンバー。勉強になんの？作ちゃんは？」
「アホを否定できないのが悔しい…。作間さんは図書館に勉強しに行ったよ。優斗がうざ絡みするから。」
「え、俺のせいだったの？」
不意にスマホから顔を上げる優斗。
気付いてなかったらしい。
「どうせロクに進んでないんだろ。教えてやろうか？」
「良いの？…でも蒼弥、勉強は？」
「合宿の間に前もってしてたから余裕だよ。お前らと一緒にすんな。」
「良いの？ガリさん、教えて！」
「お前にはプライド無いのか優斗」
「そんなもんとっくに捨てた」
「まあ良いや。安くねえぞ。」
こうしてまた年下に頼ることになってしまった私たちだった。
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作成日時：2023年3月22日 22時
