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特にやる事もないだろうという理由でレッスンを見学させて貰えることになった。
この様子はYouTubeに少し、ライブのメイキング映像にがっつり映るらしいので、カメラに映り込まないようにカメラの真横に座った。
優斗や蒼弥がしつこく見せてくるからYouTubeやテレビでたまに見てた5人のアイドル姿。
生で見るのは初めてだった。
普段はあんな騒がしい普通の男子高校生のみんながキラキラしているのは新鮮で、なんなら別人と見間違うほど。
今日はどうやらライブのセトリを決めるらしく、先輩たちの曲を色々流しながら、踊れる曲、怪しい曲、ローラーでできそうな曲、と実際に動きながら分けていた。
もう数時間動きっぱなしなのにみんな疲れるどころか楽しそうな顔をしていて、本当にアイドルが好きなんだろうなということがひしひし伝わった。
朝、あの告白をしてきた時は疲れ切った瑞稀くんも今は生き生きしている。
本当に学校を辞めてしまうのだろうか。
私がニコニコ笑う瑞稀くんをじっと見ていると、隣にいた優斗と目が合った。
優斗はいつもの笑顔で私に小さく手を振る。
カメラ回ってるのに良いのかな、と思いつつも無視するのも失礼だと思ったので一応振り返しておいた。
するとそれに気付いた蒼弥が私をじっと見て、手を振ってきた。
取り敢えず振り返しておいたけど何かニヤニヤしてる。
なんだろ。
どうせなんか悪巧みしてんだろうな。
そのまま見学を続ける事数時間。
午前のレッスンが終わり、昼休憩の時間になった。
5人は朝作っておいたお弁当を食べ始める。
「俺さー、カメラに手振ってたのになんでA振り返したの？(笑)まさか自分に振られてると思った？(笑)」
なるほど、蒼弥がニヤついてたのはそういうことか。
「目合ったからね。紛らわしい事しないでよ。無視しても良かったのに優しいから振り返したんだよ」
「A、俺はAに手振ったからな。」
「これで優斗までカメラだったら穴に入りたくなってた。」
「え、優斗手振ってたの？俺も振ればよかった〜。午後は振るね。」
「はしもっちゃん、カメラ回ってたから辞めといた方が良いよ。」
「瑞稀真面目〜。」
「作間さん、どうしましたか？顔色悪いですよ？」
いつもはこの辺で一度奇妙な動きを始める作間さんが、今日は大人しくご飯を食べている。
しかも元々白い肌が更に白くて明らかに具合が悪そうに見えた。
「あー…。午前のでちょっとばてたのかな？ちょっと休めば治るから大丈夫だよ。」
「なら良いですけど…。」
この言葉で安心したのも束の間。
午後の練習が始まって20分後、作間さんは倒れた。
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作成日時：2023年3月22日 22時
